強制呼出曲線
- 【読み】
- きょうせいこしゅつきょくせん
- 【英語】
- forced expiratory curve
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【意義・目的】 強制呼出曲線は、最大吸気位から最大呼出した際の呼気量を時間スケール上に記録したもので、曲線の形状は、呼気速度を表している。またこの曲線から努力肺活量(FVC)、時間呼気流量(1秒量FEV1.0 ,最大呼気中間流量FEV 25-75など)、1秒率(FEV1.0 %=FEV1.0 /FVC×100)を求め、数量化されたものを評価することもできる。肺疾患患者の多くは、その疾患に特有なパターンの曲線を描くので、肺疾患の種類や重症度を知るうえで有用である。歯科領域においては、手術前評価のための肺機能検査の1つとして行う。
【検査法】 測定はスパイロメータを用いて行うが、この装置にはガスの容積を測定して対応する流速を算出する容積型と、呼吸流速計で流速を測定してガスの容積を算出する流速型がある。最近では、このスパイロメトリーと同時にフローボリューム曲線を記録できる装置が普及しており、計算も自動化している。なお、フローボリューム曲線は、強制呼出曲線の形状の解析を容易にしている。
まず被験者の着衣をゆるめ、深呼吸が楽にできるようにし、座位または立位でマウスピースをくわえさせる。このとき口元からの空気の漏れがないことを確かめる。そして安静呼吸から最大限に息を吸わせ、すぐにできるだけ強く速く呼出させ、これ以上吐けなくなるまで努力させる。得られた曲線はすぐに調べて十分な努力がされているかどうかチェックする。
【結果・評価】 FEVが4.0でFVCが5.0の正常者の場合、1秒間に呼出する量は41であり、全部で51呼出されたことになる。この場合、努力肺活量は51となり、1秒率は80%である。慢性閉塞性肺疾患者(肺気腫、慢性気管支炎など)は、呼出速度が遅く努力肺活量も少ない。1秒率は42%と低値である。それに対して、拘束性肺疾患者(肺繊維症、胸郭変形、胸膜異常など)は、1秒率は90%と呼出速度は正常であるが、肺活量が低値である。