クリアランス法による検査
- 【読み】
- くりあらんすほうによるけんさ
- 【英語】
- examination by clearance test
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【定義】クリアランスの概念を種々の物質、臓器に応用した検査、特に腎機能検査として腎クリアランス法を応用したものが多い。
【検査法】
1)腎血漿流量、腎血流量の測定:パラアミノ馬尿酸ナトリウム(PAH)などのように1回の腎内循環の間に血漿から尿中にほとんど排泄される物質のクリアランス値は単時間の腎血漿流量にほぼ等しい。ただし、それは腎排泄組織を流れる血漿量であり、非排泄域の流量は含まないので、これを有効腎血漿流量と呼び、腎血行動態の評価に用いる。この物質の尿中および血漿中濃度を各々、Umg/dl、Pmg/ml、1分間尿量Vmlとすると、クリアランス方式により有効血漿流量RPFは、RPF=UV/P(ml/分)として求められる。
最終的には被験者の体表面積Am2とヘマトクリット値Htを求め、腎血漿流量RPFと腎血流量RBFは次式により算出する。
RPF(ml/分)=UV/P×1.48/A
(日本人平均体表面積1.48m2として換算)
RBF(ml/分)=RPF×100/100-Ht
RPFの測定には一般に、PAHクリアランスCPAHが用いられる。CPAH正常値は男女平均500ml/分、また、PAHは主として近位尿細管から排泄されるため、CPAHは同時に近位尿細管の機能をも示す。
2)糸球体濾過値の測定:糸球体で濾過されるだけで排泄され、尿細管から排泄も再吸収もされない物質のクリアランス値は単位時間の糸球体濾液の量(糸球体濾過値と呼ぶ)に等しく、これにより糸球体機能が評価される。前述のクリアランス方式より糸球体濾過値GFRはRPFと同様、次のように求められる。
GFR=UV/P×1.48/A(ml/分)
一般にGFRの測定には内因性クレアチニンクリアランスCcr(クレアチニンクリアランス)が用いられる。その他、チオ硫酸ナトリウムクリアランス、尿素クリアランスなどがある。
Ccr正常値は男女平均100ml/分
腎障害が強いなどで、水分負荷ができない場合、24時間尿を集めて24時間クレアチニンクリアランス試験も行われる。
3)浸透圧クリアランスの測定:浸透圧すなわち溶質量のクリアランスにより腎の水分吸収能を評価する。
尿および血漿の浸透圧をそれぞれUosm、Posm、尿量Vml/分とすると、浸透圧クリアランスCosmは次式で求められる。
Cosm=Uosm V/Posm(ml/分)
これは1分間に排泄される溶質を供給するに必要な血漿量であり、V=Cosmのときは血漿と尿の浸透圧が等しい。V>CosmのときはV-Cosm=CH2Oの水(自由水クリアランスと呼ぶ)による尿の希釈を示しており、希釈力を表わしている。また、V<CosmのときはCosm-V=TCH2Oの水(自由水再吸収量と呼ぶ)が再吸収されて尿濃縮されたことを示しており、濃縮力の指標となる。
【正常値】
Cosm:水利尿時 3.85ml/分
濃縮時 1.57ml/分
CH2O:水利尿時 9.17ml/分
TCH2O:濃縮時 1.11ml/分