クロール
- 【読み】
- くろーる
- 【英語】
- Chlor、Cl
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【同】塩素
【意義・目的】Clは、主として細胞外液中に存在し、細胞内には全Cl量の30%であり、赤血球内に含まれていて、結合組織内のコラーゲンと結合しているClも多い。健常成人は1日69~208mEqのClをNa塩あるいはK塩として摂取しており、1日最小必要量は75mEqである。Cl吸収はNa輸送によって生じた電位勾配によると考えられている。小腸では1日16lの食塩水が吸収されている。1日150mEqのCl摂取では、120mEqは尿中に、5mEqは糞中ヘ、25mEqは汗により排泄される。赤血球のCO2とO2の交換する際に、イオンバランスのためにCl-が血球内に入る(塩化物移動)。
【検査法】
1)Schales&Achales法
硝酸第2水銀Hg(NO3)2溶液に試料を加えるとCl-とHg2+が反応して非解離性無色のHgCl2をつくる。Cl-が消費されると過剰のHg2+と指示薬ジフェニルカルバゾンが反応して紫青色を呈するので、消費したHg(NO33)2量からCl量を求める。
2)クロライドメーター法
銀電極に一定の電流を流し、Ag2+を遊出させる。これがCl-と反応し塩化銀となり沈澱する。すべてのCl-が結合すると遊離Ag2+が溶液に現われ指示電極の電位を急増させ、カウンターを停止させる。これに要した時間を標準液と比較してCl濃度を求める。その他イオン選択性電極法がある。
【適応疾患名】脱水症、Cl剤過剰投与、過呼吸などでCl値は上昇する。鎮痛剤の長期服用による高クロール血症の報告もある。希釈性低Cl血症、長期間の嘔吐、利尿剤、腎不全、副腎皮質機能不全、肺炎などでは、血清Cl値は低下する。
【正常値】全血:77~86mEq、血1清:98~108mEq。女性は男性よりやや高値を示す。
男性:100.2±2.4mEq、女性:102.3±2.9mEq。