血液粘度測定
- 【読み】
- けつえきねんどそくてい
- 【英語】
- blood viscosity
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【意義・目的】 血液自体の流れに対する特性を示す指標の1つとして血液粘度があり、ずり応力とずり速度から算出される。
【適応疾患名】
1)血液粘度の増加:血栓症、心筋梗塞、糖尿病、膠原病、異常蛋白血症、マクログロブリン血症、いわゆる高粘度症候群、真性多血症、白血病など。
2)血液粘度の低下:過剰輸液など。
【検査法】 毛細管粘度計と回転粘度計による方法に大別される。主に円錐-平板型回転粘度計が用いられる。試料槽に約1mlの試料を入れ、一定速度(ずり速度)で回転させ、そのときスプリングにかかるトルクを回転目盛盤上で読み、ずり応力を算出して粘度が得られる。
ずり速度(γ、sec-1)=ω(円錐の回転速度・rad/sec)/sin θ
ずり応力(τ、dynecm2)=T(スプリングの歪みによって検出されたトルク・dyne/cm2)/2/3πr3
粘度(η、dyne・sec/cm2=poise)=τ/γ=3T・sinθ/2πr3・ω
なお、粘度の単位はpoiseという。1/100poiseをcentipoise(cp)といい、20度Cの水が約1cpの粘度である。
【正常値】 (ISOGAI,Yらによる、1970)
全血粘度(37度C。ずり速度230sec-1)
男子Ht:44.7±2.4 η:4.04±0.23cp
女子Ht:40.0±3.0 η:3.64±0.33cp
平均Ht:43.2±3.7 η:3.90±0.40cp
【結果・評価】測定値の評価には、測定時の温度、ヘマトクリット値、ずり速度を参照しなければならない。血液粘度に影響を及ぼす因子としては、温度、へマトクリット値、ずり速度のほか、血漿蛋白に影響される血漿粘度、赤血球表面荷電の変化、赤血球の易変形性などがあげられる。血液粘度の増加による血液流動の変化と、血栓形成、血管閉塞、組織の低酸素状態などの病態との関連性に注目される。