専門情報検索 お試し版

血漿カルシウム再加時間

【読み】
けっしょうかるしうむさいかじかん
【英語】
plasma recalcification time
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【定義】血小板第3因子は流血中では、何らかの刺激によって活性化されるまでは、利用されて影響を及ぼす状態にない。また、血小板第3因子能の低下には血小板そのものが少ない場合と、血小板第3因子放出の異常によるものとがある。血小板をカオリンと混合すると、カオリンによって血小板は活性化される。そのため血漿のカオリン凝固時間を測定することは、血小板第3因子の利用の程度を知ることができる。すなわち、多血小板血漿をカオリンと一緒にインキュベートして、血小板膜表面に変化を起こさせ、血小板第3因子の効力を十分発揮させて、カルシウム再加時間を測定する法に血小板第3因子能試験platelet  factor-3 availability test(PF3利用試験)がある。
【意義・目的】凝集を惹起させる物質によって刺激された血小板第3因子は凝血反応を促進させて、X、II因子の活性化に関与している。PF3は血小板の膜リポ蛋白が血漿中の凝固因子と結合する能力を有しており、トロンビンやコラーゲンで刺激された血小板ではPF3活性が出現し、超音波の影響や凍結融解によって血小板を破壊した場合にも、PF3による凝固作用は促進する。陰性荷電をする物質表面における内因系凝固反応には、XLaによるIX因子の活性化、IXaによるX因子の活性化、XaによるII因子の活性化の三反応があるが、これを総括的にとらえる検査が血漿カルシウム再加凝固時間で、血小板表面におけるII因子の活性化の状態はカオリン蛇毒時間を測定することによって知ることができる。
【適応疾患名】血小板第3因子の利用低下を来す疾患、すなわち血小板無力症、Bernard-Soulier症候群、尿毒症、慢性骨髄増殖疾患群、Waldenstromマクログロブリン血症、肝疾患、SLE、巨赤芽球性貧血。
【検査法】
1)まず、クエン酸ナトリウム加血漿を作製する。作製法は、肘静脈より採血した血液9容に対して3.2%クエン酸ナトリウム1容の割合に静かに混和して、このクエン酸ナトリウム加血液を3000rpm 10分間遠心して血漿を分離し、測定する時まで冷蔵庫(2~6度C)に保存する。
2)被検血漿9容に5%カオリン液1容を加えて混和させ37度C30分恒温槽中におく。
3)この混和液0.1mlに0.1mlの蛇毒液と0.025M塩化カルシウム液0.1mlを加え、凝固するまでの時間を測定する。
4)被検血漿中の血小板を凍結融解5回で破壊したものを100%とし、同一人の血漿で希釈系列をつくり各々のカオリン蛇毒時間を測定して両対数グラフにプロットして漂準曲線を作成する。これにより利用率(%)を求める。
【正常値】カオリン蛇毒時間14~31秒、血小板第3因子の利用率7±6(M±SD)%、ただし、血漿中の血小板数10~30万/μlの場合。
【評価】血小板第3因子能指数すなわち利用率は次式で表わされる。
(正常血漿の血小板数/被検血漿の血小板数)X100=(%)
なお、被検血漿のカオリン蛇毒時間(秒)を呈する正常血漿の血小板数(検量線より)を用いる。