血漿フィブリノーゲン
- 【読み】
- けっしょうふぃぶりのーげん
- 【英語】
- plasma fibrinogen
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【定義】フィブリノーゲンは、分子量約24万の糖蛋白質で、血液凝固因子として最初に発見されたので第1因子とも呼ばれている。
【生体内分布】これは肝実質細胞で作られ、そのうちの約80%は血漿中、残りは組織中に分布する。
【意義・目的】主として血液凝固機序の異常(DIC=播種性血管内凝固症候群を含む)の鑑別に、他の凝固因子とともに測定される。その他、肝障害、感染症、悪性腫瘍などの際にも、診断的意義がある。
【適応疾患名】血液凝固障害(出血傾向、血栓形成など)、肝障害、感染症、悪性腫瘍、脳血栓、心筋梗塞、ネフローゼなど。
【正常値】200~400mg/dl。加齢につれて増加する傾向があり、また妊娠月数が進むにつれて増加し、分娩後は減少し妊娠前の値に戻る。
【結果・評価】
1)濃度低下を示す場合:DIC(血小板減少、FDP=fibrin degradation productの上昇を伴う)。巨大または広範囲の血栓形成(フィブリノーゲンの消費が増える)。線溶亢進(FgDPの増加を伴う)。肝障害(急性・慢性肝炎、劇症肝炎、肝硬変)、大量出血。
注)フィブリノーゲン濃度が60mg/dl以下になると、出血傾向が出現することが多いといわれる。
2)濃度上昇を示す場合:感染症、悪性腫瘍(胃癌、腸癌、子宮癌など)、脳血栓(発作後数日から上昇)、心筋梗塞(発作後24時間で上昇し始める)、糖尿病、ネフローゼ、エストロゲン製剤服用時など。急性胆嚢炎、肝癌では上昇傾向を示す。
注)フィブリン濃度が700mg/dl以上になると、血栓ができやすくなるといわれる。
3)異常フィブリノーゲンの出現:先天性異常フィブリノーゲン血症、原発性肝細胞癌、急性肝不全、慢性肝炎などでみられることがある。