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血清アルカリフォスファターゼ

【読み】
けっせいあるかりふぉすふぁたーぜ
【英語】
serum  alkaline phosphatase、ALP
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【定義】主として有機モノリン酸エステルを加水分解する酵素で、アルカリ側で至適pHをもつものをいう。
(生体内分布)生体内では肝、骨、胎盤、小腸、腎、乳腺などに分布している。
【意義・目的】この酵素が、肝から胆汁を経由して排泄されるため、胆道閉塞による胆汁のうっ滞、限局性肝疾患による肝内胆管閉塞、胆管炎などの診断に役立つ。また、起源臓器別(肝・骨・胎盤・小腸など)のアイソザイム(isozyme)を分析することによって、それぞれに特有な状態や疾患の推測が可能となる。
【適応疾患名】
1)肝・胆道疾患:胆道閉塞による胆汁うっ滞、腫瘍などによる肝内胆管閉塞、胆管炎、肝炎、慢性肝炎や肝硬変の急性増悪時。
2)骨疾患:Paget病、骨悪性腫瘍、骨折など。
3)その他:妊娠、ホジキン病、副甲状腺機能亢進、サルコイドーシスなど。
【正常値】値は測定法により異なる。成人では、0.8~2.3単位(Bessey-Lowry法)2.7~10単位(Kind-King法)。男性では女性より10~20%高い値を、また小児では成人の2~3倍高い値を示す。
【結果・評価】アルカリフォスファターゼ(以下ALPと略)の上昇度は、各病状の時期によって変わるが、おおよその目安として次のように分けて考えることができる。
1)肝障害を伴ったALP上昇
(1)軽度上昇:ウイルス肝炎、アルコール性肝障害、肝硬変。
(2)中等度上昇:薬物性肝炎。
(3)高度上昇:肝内胆汁うっ滞(胆管内腫瘍浸潤、肝内結石、胆管細胞癌などによる)、閉塞性黄疸(総胆管胆石、膵頭部癌、胆管癌などによる)。
2)肝障害を伴わないALP上昇
(1)骨疾患:骨新生が亢進した状態(副甲状腺機能充進、クル病、骨軟化症、骨肉腫、悪性腫瘍の骨転移など)。
(2)慢性腎不全。
付)ALPアイソザイム
(1)ALP1(高分子ALP):胆汁うっ滞時、転移性肝癌、うっ血肝などで、次のALP2とともに上昇する。
(2)ALP2(肝性ALP):成人の正常血清ALPの主成分で、肝炎、肝硬変、原発性肝癌で上昇する。
(3)ALP3(骨性ALP):小児の血清ALPの主成分で、骨新生時に上昇。
(4)ALP4(胎盤性ALP):妊娠後期に上昇する。
(5)ALP5(小腸性ALP):高脂肪食後、血液型がB型、O型の人で検出されるという。肝硬変、慢性腎不全、糖尿病などで、その上昇の程度が増す。
(6)その他:ALP6(免疫グロブリン結合ALP)、肝癌ALP(肝細胞癌の腫瘍マーカー)などがある。