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血清γ-グルタミルトランスペプチダーゼ

【読み】
けっせいがんま-ぐるたみるとらんすぺぷちだーぜ
【英語】
serum γ-glutamyl-transpeptidase、γ-GTP
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【定義】γ-グルタミルトランスペプチダーゼ(以下γ-CTPと略)はγ-glutamylpeptide(glutathioneなど)から、γ-glutamyl基を他のアミノ酸やペプチドに転移させる酵素である。
【生体内分布】この酵素は、腎(尿細管)で活性が最大であり、次いで膵・肝(特に肝細胞のミクロゾーム分画に多く、毛細胆管にもある)・小腸(絨毛)・脾・脳などに分布している。
【意義・目的】血清γ-GTPを検査する意義は、次の4点に集約できる。
1)肝・胆道疾患で、ほぼ特異的に上昇し、しかもその上昇する幅が大きいので、肝・胆道疾患のスクリーニングに役立つ。
2)胆道系酵素(胆道系の異常で濃度が変化する酵素)としての面ももっており、胆汁うっ滞や限局性肝疾患(腫瘍、膿瘍など)の診断に役立つ。
3)アルコール性肝障害や他の薬剤性肝障害で著しく上昇する特徴があるため、この種の肝障害の診断や経過をみるうえで有用である。
4)アイソザイム分析により、肝細胞癌に特有なγ-GTPのアイソザイムが認められ、診断の助けとなる。
【適応疾患名】アルコール性肝障害、薬剤性肝障害、胆汁うっ滞(胆石、胆道腫瘍、膵頭癌などによる)、急性肝炎、原発性または転移性の肝癌など。
【正常値】成人男性で、0~50U/l、小児・若年者では0~20U/l。
女性では一般に活性が低い傾向がある。飲酒常習者や薬剤(バルビタール類、トランキライザーなど)の長期服用者では高値を示し、10~100U/l。
【結果・評価】
1)著明(100~1000U/l程度)に上昇しうる場合:アルコール性肝障害、薬剤による肝障害、胆汁うっ滞(特に総胆管胆石、膵頭部癌、十二脂腸乳頭部癌、胆道癌など肝後性胆道閉塞によるもの)、転移性肝癌、胆管癌など。
2)中等度(300U/l程度まで)に上昇しうる場合:肝硬変、肝良性腫瘍、肝細胞癌など。
3)軽~中等度(200U/l程度まで)に上昇する場含:急性・慢性肝炎、飲酒常習者など。