血清総コレステロール
- 【読み】
- けっせいそうこれすてろーる
- 【英語】
- serum cholesterol
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【定義】コレステロールは脊椎動物の主要なステロールで、血清総コレステロールの約2/3がエステル型、残りの1/3が遊離型で占められている。
【意義・目的】コレステロールは主として肝で代謝されている。すなわち、肝はコレステロールの合成、胆汁酸への変化、胆汁中への排泄などを行い、腸管内に排泄されたコレステロールや胆汁酸は大部分が腸で吸収されてふたたび肝にかえり、一部は便中に排泄される。
血中コレステロール濃度は、肝でのコレステロール生成と吸収、胆汁酸への変化、血中リポ蛋白の代謝とも密に関連して変化する。したがって、肝・胆道疾患、ネフローゼ症候群(蛋白代謝異常を伴う)、内分泌系疾患(脂質代謝異常を伴うもの)、脂質代謝異常などで異常値を示す。
血中のエステル型コレステロールの総コレステロールに対する比は、「エステル比」といわれ、この比の低下は重症な肝実質障害(急性・慢性肝炎、肝硬変、閉塞性黄疸など)を示すとされる。
付)血中のコレステロールは、LDL(low density lipoprotein)およびHDL(high density lipoprotein)、一部VLDL(very low density lipoprotein)の形で存在している。このうち、HDL-コレステロールは、いわゆる“善玉コレステロール”とみなされ、抗動脈硬化作用があるとされている。
【適応疾患名】結果・評価の項を参照。
【正常値】血清総コレステロール:130~250mg/dl(このうち、エステル型が80~170mg/dl、遊離型が50~80mg/dl)、エステル比は65~80%。
これらの正常値は、測定法、年齢、性別、生活環境(都会、農村)、職業(頭脳・肉体労働者)、季節、妊娠などで変動する。
【結果・評価】
1)総コレステロールが高値を示す場合
(1)家族性高コレステロール血症。
(2)代謝異常:糖尿病、動脈硬化など。
(3)内分泌疾患:甲状腺機能低下、クッシング症候群、下垂体前葉機能亢進。
(4)肝・胆道疾患:閉塞性黄疸、胆汁性肝硬変、肝癌。
(5)膵疾患:急性・慢性膵炎。
(6)ネフローゼ症候群。
2)総コレステロールが低値を示す場合
(1)内分泌疾患:甲状腺機能亢進、アジソン病、下垂体機能低下。
(2)重症肝実質障害(肝硬変)。
(3)栄養障害、貧血、悪液質。
(4)糸球体腎炎など。