血清総蛋白
- 【読み】
- けっせいそうたんぱく
- 【英語】
- total serum protein
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【定義】血漿蛋白のうちフィブリノーゲンは電気泳動法による蛋白分画検査において、しばしば分離の邪魔になること、さらに血漿を液状に保つために抗凝固剤を加えなければならないことなどの理由から、通常フィブリノーゲンを除外した血清について総蛋白、ならびに蛋白分画などの検査が行われる。したがって、血清総蛋白といった場合、フィブリノーゲンを除いたアルブミンとグロブリンが大半ということになるが、全体としては80種類以上の異なった蛋白成分から成っている。
【意義】血清総蛋白は、膠質浸透圧の構成上重要な意義をもっているが、通常血清100ml中の量(g/dl)で表わすので、摂取蛋白量、合成能、消耗とか病的喪失(腎からの)量などのほか、血清の濃縮や希釈を来す生理的日差とか点滴静注などによっても変動する。したがって、血清総蛋白量の測定にあたっては、患者の置かれた状況を考慮にいれたうえで評価しなければならない。
【適応疾患名】肝機能不全、急性・慢性腎炎、ネフローゼ、飢餓を含めた栄養不良、先天性消化管吸収不全症、悪性腫瘍、白血病のほか脱水を来す下痢とか広汎な火傷、血液濃縮を来す発熱とか利尿剤の濫用などで変動する。
【正常値】6~8g/dl
【評価】血清総蛋白量そのものは、診断的にはさほど大きな意昧はもっていない。しかし蛋白分画などで特定された病態や治療効果の判定とともに、血漿浸透圧調整の重要な指針となる。低蛋白血症は主としてアルブミンの減少によって起きることが多く、ほとんどあらゆる疾患においてみられるが、ネフローゼ症候群では4.5g/dl以下になることもまれではない。高蛋白血症は血液濃縮、特に脱水が多いが、免疫グロブリンの増加によるもののうち、10g/dl以上であればM-蛋白血症が疑われる。