血清トランスアミナーゼ
- 【読み】
- けっせいとらんすあみなーぜ
- 【英語】
- serum transaminase、GOT、GPT
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【同】血清GOT、血清GPT
【意義・目的】血清トランスアミナーゼは生体中に存在し、アミノ酸とα-ケト酸との間でアミノ基転移を行う酵素である。このうち臨床的に重要なものはglutamic oxaloacetic transaminase(GOT)とglutamic pyruric transaminase(GPT)である。GOTは心筋、肝脳に高度に存在し、骨格筋、腎などにも多い。GPTはGOTに比し濃度は一般に低く、肝は最も多いが、GOTの約1/3で腎、心筋、骨格筋の順であるが肝特異性といわれるほど肝に局在している。腎にはGOT、GPTともに比較的多く含まれるが、腎梗塞を除く腎疾患で血清GOT、GPTが上昇することはない。血清GOT、GPTの活性値上昇は肝、胆道疾患、特に急性肝炎の際に著明に上昇する。血清GOTは心筋硬塞の場合に上昇し、これら疾患の診断上重要な検査法である。血清GOT、GPTは逸脱酵素であるので、血清GOT、GPTが高値を示す場合にはそれに見合うだけのGOT、GPTが体内の臓器中において減少していることになる。
【適応疾患名】急性・慢性肝炎、劇症肝炎、アルコール性肝炎、脂肪肝、肝硬変、肝癌、心筋梗塞、筋疾患など。
【検査法】
・GOT測定法
1)Karmen法:L-アスパラギン酸、α-ケトグルタール酸を基質として生成されたオキサル酢酸にリンゴ酸脱水素酵素を共役酵素として作用させ、NADHの減少を340nmで連続モニタリング測定する方法でGPTでも同様な原理で測定される。本法で用いられるKarmen単位はトランスアミナーゼの単位として用いられている。現在ではKarmen法に準拠し、NADHの340nmにおける吸光度の減少を測定する。UV法(日本臨床化学会酵素委員会勧告案)が用いられ単位はU/lで表示される。Karmen単位(単位/ml)×0.48=国際単位(U/l)
2)Reitman-Frankel法:UV法で簡便な可視部比色法の一点測定法として開発された方法で、生成されたオキサル酢酸を比色定量しKarmen単位に換算する。
・GPT測定法
1)Karmen法:アラニンを基質とし、生成するピルビン酸をLDHにより還元し、NADH減少に伴う340nmの吸光度変化から酵素活性を求める方法。
2)Reitman-Frankel法:生成されたピルビン酸を比色定量する方法でKarmen単位に換算する。
【正常値】
GOT 8~40Karmen単位、 9~33U/l
GPT 5~35Karmen単位、 4~50U/l
【結果・評価】
1)GOT高値を示す場合:急性肝炎、劇症肝炎、慢性肝炎、アルコール性肝炎、脂肪肝、肝硬変、肝癌、心筋梗塞、筋疾患、悪性腫瘍、白血病など。
2)GPT高値を示す場合:急性肝炎、劇症肝炎、慢性肝炎、アルコール性肝炎、脂肪肝、肝硬変、肝癌など。
GOT、GPTは急性肝炎の早期診断、慢性肝疾患の経過観察などの不可欠な検査で、比率は各種肝疾患で一定の傾向を示すことが多い。