血清トリグリセリド
- 【読み】
- けっせいとりぐりせりど
- 【英語】
- plasma or serum triglyceride、TG
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【定義】3分子の脂肪酸がグリセロールにエステル結合したものがトリグリセリドで、中性脂肪とも呼ばれる。ヒト血漿中のグリセリドはほとんどがトリグリセリドで、モノグリセリド、ジグリセリドも存在するが微量で問題にならない。トリグリセリドの主な起源には2つあり、ひとつは経口摂取された脂肪が吸収されたときに腸管から分泌されるカイロマイクロンの主成分としてのトリグリセリド、他のひとつは肝で合成され分泌される超低比重リポ蛋白の主成分としてのそれである。つまりトリグリセリドは腸管と肝から分泌されるリポ蛋白の主成分として血中に出現し、脂肪組織を終末貯蔵臓器とする。
【意義】トリグリセリドは血漿リポ蛋白によって運搬される脂質のなかでコレステロールとならんで主要なものであり、ある人のトリグリセリド値が、同じ性・年齢のグループ間の値で上位5%以内に属する場合、その人は動脈硬化性疾患を来しやすいことが知られており、これがトリグリセリド測定の主な理由となっている。
【適応疾患名】一般人口を対象とした疫学的研究でトリグリセリドが異常に高値を示した場合、まず予想されるのは家族性高脂血症である。今日家族性高脂血症はリポ蛋白像によって1~5型に分類されている。
【正常値】トリグリセリドは研究者によっても、また年齢・性・個人的環境および民族などによっても測定値に大きな差がある。また健康を維持するために必要な最低量もわかっていない。したがって、正常値についても異論があろうが、本邦(某県)における成人男女の平均値は157±38mg/dlおよび133±58mg/dlという報告がある。
【評価】脂肪摂取後のトリグリセリド値上昇は当然であるが、無脂肪食でも変動する。アルコール飲用や食事成分の影響は大きく、一般に一晩絶食後に採血しないと意味がない。また体位の変換、採血に要した時間によっても差が認められている。環境その他の条件、すなわち精神的ストレス、外傷、妊娠および喫煙などによっても変動する。常用薬では経口避妊薬、抗精神薬およびサリチル酸製剤などの有無を聴きただしておかねばならない。
一般に先進国における血漿中あるいは血清中のトリグリセリド値は男女とも高く、生理学的な数値を超えつつあると考えられており、これが先進国における動脈硬化症の一要因となっているとされている。しかし統計学的な正常値を、ある人口について求めることはできるが、上のような理由からこれはあくまでも一応の目安的なものであることに留意すべきである。