血清リポ蛋白
- 【読み】
- けっせいりぽたんぱく
- 【英語】
- serum lipoproteins
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【定義】脂質が血中を転送される場合、アルブミンと結合する遊離脂肪酸を除いて、他はすべてアポ蛋白とともにリポ蛋白という複合体の形をとる。リポ蛋白は、その測定法によって同一リポ蛋白に対する呼称が異なり、超遠心法では、その比重に基づいてカイロミグロン(CM)、超低比重リポ蛋白(VLDL)、低比重リポ蛋白(LDL)、高比重リポ蛋白(HDL)に大別される。電気泳動法では、pre-β、β、αの3分画が認められ、各々超遠心法のVLDL、LDL、HDLに相当する(CMはほとんど移動せず原点に留まる)。
また、リポ蛋白のうちVLDLとLDLを構成する固有の蛋白部分をアポ蛋白と呼んでいるが、その役割は、不溶性の脂質を血中に可溶化する機能、脂質代謝系の酵素活性を修飾する機能およびリポ蛋白の転送における機能に大別される。
【意義】リポ蛋白のうち、消化管および肝で合成されるCMおよびVLDLは、その主成分がトリグリセリド(TG)であるため特にTG-richリポ蛋白と呼ばれ、末梢血管内で水解を受け中間体を経てLDLとなり、末梢組織へのコレステロール供給源となる。一方HDLは、肝で合成されるほか、VLDLの異化の際に生ずる余剰の膜成分からも生成されるが、これの役割は末梢組織からコレステロールを除去する働きがあり、抗動脈硬化作用の由縁とされている。したがって、血清中のリポ蛋白分画像は、脂質代謝の動態を示すものであり、またアポ蛋白の変動パターンは、脂質代謝異常の病態を反映するものであり、ともに高脂血症や動脈硬化性危険因子として臨床上有意性が高い。
【適応疾患名】高値を示す場合:家族性高リポ蛋白血症、甲状腺機能低下症、ネフローゼ症候群、糖尿病、急性膵炎など。
低値を示す場合:無βリポ蛋白血症、低リポ蛋白血症、Tangier病、甲状腺機能亢進症、肝硬変などである。
【評価】リポ蛋白の血中濃度が上昇した状態を高脂質血症と呼んでいるが、基本的に以下の5型に分類される。I型高脂血症:カイロミクロンが増加する。IIa型高脂血症:LDLが増加する。IIb型高脂血症:LDLとVLDLが増加する。III型高脂血症:VLDLからLDLへの代謝が停滞したもので、サイズの小さいLDLが増加し、電気泳動法でbroadβ-bandが出現する。IV型高脂血症:VLDLが増加する。V型高脂血症:カイロミクロンとVLDLがともに増加する。
高脂質血症を評価する場合、これに関与する疾患を2つに分けて考える必要がある。第1は脂質代謝異常を伴う疾患がある場合で、これを二次性高脂質血症という。もう1つは家族性高脂質血症を含めて、高脂質血症が存在するために、これが原因となって二次的に惹起される動脈硬化性疾患で、高脂質血症が問題になるのは後者のほうである。高脂血症があるからといって、原疾患を鑑別することはできないが、少なくともLDLが500mg/dl以上、VLDLが150mg/dl以上を示すものは、家族性のIIa型ないしIV型を疑う必要があり、両親、兄弟および子供の脂質を測定すべきである。高血圧症と高脂質血症とは必ずしも相関しないのに対し、動脈硬化が基礎となる脳梗塞や心筋梗塞では、症例の2/3に高脂質血症を認め、強い相関性を示している。さらに動脈硬化性疾患患者では、HDL値が低く、多くの場合、日本人で200mg/dl以下、HDL-chol.値も少なくとも40mg/dl以下を示す症例は異常と考えるべきである。
HDLとHDL-chol.の正常値に関しては、測定所要時間の長いことなどの理由から、日常の検査にはあまり用いられないが、20歳代で227±57mg/dlならびに44±11mg/dlという報告がある。このHDL値が高値を示す家系では虚血性心疾患の発病が少なく、長命者が多いことが見いだされており、longevity syndromeと名付けられている。