血餅収縮能
- 【読み】
- けっぺいしゅうしゅくのう
- 【英語】
- clot retraction
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【同】血餅退縮
【定義】健常な凝固機能を有する血液は、凝固すると、生じた血餅は血清を分離して次第に収縮する。収縮するまでの時間あるいは収縮度を血餅収縮能という。
【意義・目的】血餅の収縮能力は主として血小板中に存在する血餅収縮因子によって影響される。したがって、一定の条件のもとで血液を凝固させ、ある一定時間を経過してからの血餅収縮能を測定すれば、血小板数や血小板機能を判定するための指標となる。血小板数の減少あるいは機能減退などの異常があると血餅収縮力は不良となり、血清の分離をみない。
【適応疾患名】血餅収縮が不良となる疾患には血小板異常(血小板減少症、血小板無力症、血小板病症)、凝固異常(再生不良性貧血、白血病、DIC、無フィブリノーゲン血症、異常フィブリノーゲン血症、異常蛋白血症)などがある。
【検査法】Macfarlane変法が普遍的である。
1)Macfarlane変法:(1)0.1mlまで測定できる目盛付先細遠沈管と、友栓の先端に鈎状に曲げた針金を付けたものを用意する。(2)静脈より採血した血液を遠沈管壁に沿って5ml静かに分注する。(3)用意した針金付友栓をして、37度C恒温槽内に60分間静置して血液を凝固させる。(4)凝固完了後静かに友栓を引き抜くと、血餅は針金の先端に付着して除かれる。遠沈管に残った、折出血清量(Sml)を読む。血餅収縮能(%)=S/5×100で計算される。なお貧血がある場合は、採血血液の残余でへマトクリット(Ht)を測定して血餅液量(%)=(5-S)/5×100-Htで計算する。
2)血餅収縮時間:(1)Lee&White血液凝固時間測定の際に、試験管を1本多く用意し、これに3mlの静脈血を分注し、37度C恒温槽内に静置する。(2)採血後30分、1時間、2時間、4時間、24時間後に血餅収縮の状態を観察する。
【正常値】Macfarlane変法は40~60%、血餅収縮時間は30~60分である。
【結果・評価】一般に貧血があると血餅収縮値は高値を示すので、貧血と血小板減少が合併していると、血餅収縮が悪くても測定値は正常となる。この場合にはHtを測定して補正したほうがよい。試験管内法では試験管の内面が清浄でないと、血餅が管壁からはなれないことがある。