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ケトン体

【読み】
けとんたい
【英語】
ketone bodies
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【同】アセトン体
【意義】ケトン体は、アセト酢酸、3-ヒドロキシ酪酸、アセトンの総称で、肝で脂肪酸の分解により生成され、エネルギー源となる。しかし、利用障害(糖尿病)、糖質摂取不足(飢餓、下痢、嘔吐)、尿毒症などのために糖の燃焼が少なく、エネルギー源として使えなくなったときには脂肪代謝が異常に上昇して、血中、尿中のケトン体が増加する。したがって、重症糖尿病、飢餓、小児自家中毒、悪液質などにおける検査として重要である。
【適応疾患名】糖尿病、飢餓、激しい下痢、嘔吐、尿毒症、小児自家中毒、甲状腺中毒症など。
【検査法】尿検査法と血液検査法がある。
尿検査による法:試験紙法(ケトステックスなど)、新鮮尿に含まれるケトン体と、試験紙に含まれるニトロプルシッドナトリウムが反応して紫色を呈する。15秒後に比色表と比べて判定する。尿による場合は、アセト酢酸に対する感度は高いが、ケトン基をもたない3-ヒドロキシ酪酸には反応しないが、臨床上の目的にはこのようなケトン尿の半定量測定で十分である。
血液検査による法:酵素法。血液を30%HC104で除蛋白、その濾液についてD(-)3-ヒドロキシ酪酸脱水酵素の存在下でNADH2の産生を定量する。血中ケトン体にはアセトンは微量しか検出されず、65~75%は3-ヒドロキシ酪酸、25~30%がアセト酢酸で、糖尿病患者にみられるケトーシスの場合には、3-ヒドロキシ酪酸が増加する。したがって、糖尿病における成因、重症度、治療法などを知るためには、さらにケトン体分画を行って血中ケトン体のレベルを調査する必要がある。
【正常値】
尿検査(試験紙法) 陰性
血液検査(血清) アセト酢酸27~61μmol/l
            3-ヒドロキシ酪酸26~92μmol/l
ケトン体分画(血清) アセト酢酸40~90μmol/l
            3-ヒドロキシ酪酸50~120μmol/l
            総ケトン体100~200μmol/l
【評価】糖尿病患者における血中ケトン体のレベルは、体内インスリン作用の不足の程度を知る上で重要な代謝指標である。したがって、通常は尿検査で十分であるが、さらにくわしく知るためには血液検査を必要とする。