現病歴
- 【読み】
- げんびょうれき
- 【英語】
- history of present illness
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【意義】現病歴とは患者が訴える疾患がどのようにして始まり、どのような経過をたどって現在に至ったかの記録であり、病歴の中でも最も重要な問診事項である。まず発病から現在に至る経過を聴取するが、この際問診は慎重で、微細に、要領をえたものでなぐてはならない。できるだけ患者のありのままの訴えを話させるのがよいが、いうがままに記載しても有意義な病歴にはならない。患者の訴えに素直に耳を傾けると同時に簡潔に要点をつかみ、携えている医学的知識をもって訴えを分析し、それらより生じうる疾患を幅広く推測しながら、現病にいたった経過を記録することによって、これらが確定診断を導く記録になるわけである。
【現病歴の記録事項】
1)発病様式:現病は突然にまたは徐々に発病したか、また発病後も急激にまたは徐々に症状が進行したか、さらに、発作という形で発症したならば、その発症のしかた、経過、持続期間、症状の消退する過程、後遺症状などに注意する。こういう発病様式や持続期間によって、どんな疾患であるかわかることが多い。
2)持続期間:症状がどのくらいの期間持続したか、その症状は持続的あるいは間歇的であったか、無症状の期間がどのくらいか、また次第に増悪するか、軽快するかなどが必要である。
3)部位:症状の存在する部位を正確に知ることは重要である。特に痛みの場合は臓器組織の異常を考える指標となる。また症状が一定部位のみに局在するか、他の部位に移動するかも重要である。
4)症状の内容とその影響:症状を1つの言葉で表現しても、その内容が多少異なることもある。たとえば、痛みを鋭痛か、鈍痛かで異なるし、また何らかの条件が加わると、その症状が増悪したり、軽快したりということもありうる。
6)全身状態:個々の局所症状のほかに、全身状態の変化に注意する。急激に全身状態が悪化して体重減少、食欲不振、無力状態で、重篤になることもある。
7)患者がこれまでにいかなる治療を受け、それによって症状がいかに変化したかを知ることが大切である。処置によっては、病像にかなりの変化が見られることがあるから、この点も十分に注意する。