専門情報検索 お試し版

好気性菌感受性検査

【読み】
こうきせいきんかんじゅせいけんさ
【英語】
sensitivity test of aerobic bacteria
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【意義・目的】口腔領域の感染症は種々の菌の組み合せで成立する。近年嫌気性菌の存在が注目されているが、Streptococcus haemolyticsを中心とする好気性菌の存在はやはり重要で、感受性検査もまた重要な項目である。
【適応疾患名】歯性感染症、特に自潰、切開などで外部との交通のみられる膿瘍、口腔粘膜の表在性感染症、その他。
【検査法】患者から採取した材料の運搬は嫌気性菌ほど神経質にしなくてもよいが、なるべく早く検査室に送ることが好ましい。時間がかかるときは冷蔵庫に保管する。
1)液体培地希釈法:最も信頼度が高いが、手数がかかるので、日常の臨床検査室では行われない。
2)寒天平板希釈法:日本化学療法学会の推奨する方法である。あらかじめ分離培養した菌を使用する。抗生物質のほうはMuller-Hinton液体培地で100μg/mlから28倍まで倍数希釈しておく。Muller-Hinton寒天培地を10枚用意し、倍数希釈した薬液を混合する。最後の1枚は対照にする。106~108個/mlの菌液を1白金耳塗抹して、37℃、1夜好気的に培養し、菌の発育を阻止した最小濃度を最小発育阻止濃度(MIC)とする。
3)感受性ディスク法:1濃度ディスクと3濃度ディスクがある。前者は適量の薬剤を小円形濾紙にしみこませたもの、後者は高、中、低濃度の薬剤をしみ込ませた3種のディスクを使う。どちらも変法Muller-Hinton寒天培地の上に1滴の菌液を滴下し、コンラージュ棒で均等に塗抹する。(この際患者から採取した材料をそのまま塗抹する直接法と、あらかじめ菌の分離培養を行い、目的の菌を滴下する間接法とがある)。滅菌ピンセットでディスクを培地の上に貼り、37℃、16~24時間、好気的に培養する。1濃度法はディスクの周囲にできた阻止円の直径からMICを計算し、3濃度法ではディスクの周囲1mm以上の阻止円ができたものを感受性として、最も低濃度のものをMICとする。
【結果・評価】各々の抗生物質について、投与量と血中濃度との関係がグラフになっているから、血中濃度がMICを十分上回るように投与量を決定する。感受性ディスクには阻止円と投与量との関係表が添付されている。ただし、この成績はin vitroの抗菌力を示したもので、必しもin vitroにおける治療効果をあらわすとは限らない。