交差適合試験
- 【読み】
- こうさてきごうしけん
- 【英語】
- cross match test
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【意義・目的】 輸血に際して、ABO式血液型とRh式血液型が同型と判定されていても、血液型判定の再確認のため、また自己抗体、過去の輸血などによる不規則性抗体による輸血副作用の危険を防止するために、輸血に先立って必ず行わなければならない。
【検査法】 交差適合試験は次の2つの組み合わせについて調べる。
1)受血者の血清と供血者の血球(主試験)
2)供血者の血清と受血者の血球(副試験)
検出法には主として(1)生理食塩水法、(2)アルブミン法、(3)ブロメリン法、(4)間接抗グロブリン法(Coombs test)などがあるが、このうち(1)は不規則性抗体の反応を検出することができないので、他の不法を併用する必要があり、各種検出法の特徴をよく理解して適当に組み合わせて行うようにする。
(1)生理食塩水法:受血者と供血者血球の2%の生理食塩水浮遊液をつくり、主・副と記入した2つの試験管に受血者と供血者の血清1滴をそれぞれとり、主試験管に供血者血球浮遊液を、副試験管に受血者血球浮遊液をおのおの1滴加え、混和し1000rpm、1分間遠心後、凝集の有無を観察する。
(2)アルブミン法:上記(1)と同様に赤血球浮遊液と血清を混和した主・副試験管に、それぞれ22%または30%ウシアルブミンを各1滴加え、よく混和し、1000rpm、1分間遠心後、凝集の有無を観察する。
(3)ブロメリン法:上記(1)と同様に赤血球浮遊液と血清を混和した主・副試験管に、それぞれ0.5%ブロメリン溶液各1滴を加え、1000rpm、1分間遠心後、凝集の有無を観察する。
(4)間接抗グロブリン試験:上記(2)、(3)で凝集を認めない場合に、上記(1)と同様に赤血球浮遊液と血清を混和した主・副試験管を37℃、30分恒温槽にて加温後に生食液を満たし、混和後、遠心して上清をすてる。この洗浄を3回繰り返し、抗グロブリン(Coombs)血清を各々1滴加え、1000rpm、1分間遠心後、凝集の有無を観察する。
【判定】
主試験が陽性の場含は受血者の血清中に供血者の血球に対する抗体が存在することを意昧し、絶対に輸血を行ってはならない。副試験が陽性の場合は供血者の血清中に受血者の血球に対する抗体が存在することを示し、抗原過剰の条件となり重篤な障害を起こすことがあるので、できるだけ輸血しないほうがよい。主・副試験とも陰性の適合血を輸血するのを原則とする。
最近では供血者や受血者の血清についてパネルセルを用いた不規則性抗体のスクリーニングを行うことが多く、これにより交差適合試験の不適合はまれとなった。