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甲状腺刺激ホルモン

【読み】
こうじょうせんしげきほるもん
【英語】
thyroid stimulating hormone、TSH
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【同】チロトロビン
【定義】TSHは下垂体前葉のβ細胞から分泌され、甲状腺機能を賦活するホルモンで、分子量28,300の糖蛋白である。
【意義・目的】TSHは甲状腺のI摂取、サイログロブリンの合成と加水分解、甲状腺ホルモンの分泌を促進する作用があり、視床下部の甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)と、甲状腺ホルモンの血中濃度によるフィードバック機構により主として調節されている。したがってTSHの検査は、甲状腺機能の異常、視床下部-下垂体系の疾患の診断や病状把握のうえで重要欠くべからざるものといえる。
【検査法】生物学的測定法:in vivo法とin vitro法があるが、cytochemical bioassayを除き、いずれも精度が低い。McKenzie法、radiometric assay、cytochemical bioassayなどが含まれ、TSHの生物学的活性を表現するものである。
免疫学的測定法:ラジオイムノアッセイ(RIA)とエンザイムイムノアッセイ(EIA)による方法がある。抗TSH抗体との結合に対するRI(または酵素)標識ならびに非標識TSHの競合反応をみる。
ラジオレセプターアッセイ:甲状腺濾胞上皮細胞膜のTSHレセプターとの結合に対するRI標識ならびに非標識TSHの競合反応による。
【正常値】血清TSHの正常値は10μU/ml以下(RIA)とされるが、市販キットの測定感度の関係で正常値と低値を判別し難い。8~10μU/ml以上を異常高値とする。
【結果・評価】血中TSH値の生理的変動はほとんどみられない。病的異常として高値を示すのは、原発性甲状腺機能低下症、甲状腺全摘出後、TSH産生腫瘍、視床下部下垂体疾患の一部などがあげられる。低値を示すものには、下垂体性甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症(Basedow病)、視床下部性甲状腺機能低下症、TSH単独欠損症、亜急性甲状腺炎急性期などがある。TSHとTRH負荷を組み合わせることにより下垂体TSH分泌能をより正確に把握でき、続発性の甲状腺機能異常が下垂体性のものか視床下部性かの鑑別、Basedow病の治療後の観察の目安などに利用できる。