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抗生物質感受性試験

【読み】
こうせいぶっしつかんじゅせいしけん
【英語】
antibiotics sensitivity test
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【定義・目的】抗生物質を選択する際、病巣の細菌と抗生物質を直接反応させる検査は最も信頼度の高いものである。耐性菌が増加すれば、その必要性はさらに高くなってくる。
【検査法】膿汁などをそのまま検査に用いる直接法と、あらかしめ菌を分離培養して、目的の菌について検査する間接法とがある。理論的には間接法が正しいが、直接法では混合感染の場合、複数の菌を同時に検査できる長所がある。
1)液体培地希釈法:培地はMuller-Hinton培地が通常用いられる。10本の小試験管に各1mlの培地をいれ、第1試験管に100μg/mlの薬剤を加え、以後倍数希釈を行い、最後の試験管は薬剤を加えない対照とする。各試験管に105個程度の菌を接種し、37℃、16~24時間培養する。最も小量で菌の発育を阻止した濃度を最小発育阻止濃度(MIC)とする。
2)寒天平板希釈法:Muller-Hinton寒天培地にあらかじめ液体培地で100μg/mlから倍数希釈した薬剤1 mlを混ぜて平板を作る。これに106~108個/mlの菌液を画線塗抹する。検体多数のときはガラス棒を束ねたものでスタンプする。37℃、1夜培養し、最小発育阻止濃度を決める。
3)感受性ディスク法:1濃度ディスクと3濃度ディスクとがある。前者は適量の薬剤を小円形の濾紙にしみ込ませたもの。後者は高、中、低濃度の3種のディスクを使う。培地はどちらも変法Muller-Hinton寒天培地で、平板上に菌液を1滴滴下し、コンラージ棒で均等に塗抹する。滅菌ピンセットでディスクを平板上にに貼りつけ、16~24時間培養する。ディスクの近くは薬剤が濃厚に滲出するので菌が増殖しないが、離れるに従って増殖するようになる。こうしてできた円を阻止円といい、1濃度法ではその直径からMICを決定し、3濃度法ではディスクの局囲1mm以上の阻止円ができた最低濃度のものをMICとする。
【結果・評価】液体希釈法は最も正確であるが、面倒なので基礎実験に主に用いられる。ディスク法は臨床検査室で広く用いられている。平板希釈法はその中間で、日本化学療法学会が推奨している方法である。
いずれにしてもこの成績はin vitroのもので、実際に治療効果を表わすとは限らない。口腔領域では薬剤の炎症局所への到達度の問題があり、混合感染ではどの菌に照準を合わせて薬剤を使うかという問題が残る。