好中球スーパーオキシド産生能検査(1総論)
- 【読み】
- こうちゅうきゅうすーぱーおきしどさんせいのうけんさ(いちそうろん)
- 【英語】
- superoxide production(generation)
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【同】超酸化物イオン(O2-)産生能)、
【意義・目的】スーパーオキシド(O2-は、活性酸素(reactive oxygen species;O2-、H2O2、・OH、1O2)と呼ばれる非常に反応性の高い酸素誘導体の一種であり、分子状酸素が1電子還元を受けることにより生ずる。このO2-は、好中球やマクロファージによる細菌などの食作用時あるいは種々の刺激剤により細胞膜に局在するO2-生成酵素(NADPH oxidase)が活性化されることによって生ずる。
O2-を主とする活性酸素は、食細胞の殺菌機構における酸素依存性の殺菌系として重要な役割を果たすとともに、炎症局所での組織損傷因子としても注目されている。したがってO2-産生能の検査は、細菌感染により発症する疾患において重要な好中球機能倹査の1つとされている。
【O2-産生能の検査法】O2-産生能の検査は、種々の方法によって倹査される。すなわち、A.比色定量法として、(1)シトクロムC還元法、(2)ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)還元法、(3)テトラニトロメタン(TNM)還元法、(4)エピネフリン酸化法、B.ESRスピントラップ法、C.発光有機化合物ルミノール、ウミホタル・ルシフェリン誘導体など)を用いた化学発光による検出法がある。
ここではシトクロムC還元法およびルミノール依存性化学発光によるO2-産生の測定について解説する。
【測定原理】
1)シトクロムC還元法による測定:酸化型シトクロムCが活性化した好中球から細胞外に放出されるO2-により還元されたときの550nmの吸光増加から求める。
cyt.(Fe3+)+O2-――cyt.(Fe2+)+O2
なお、この作用がO2-自身によるものかを調べるために、O2-の特異的スカベンジャー(消去剤)であるスーパーオキシドディスムターゼを添加し反応が消失することを確認する。
2)ルミノール依存性化学発光による測定:発光有機化合物であるルミノール(5-アミノー2、3-ジヒドロ-1、4-フタラジン)が酸素あるいは過酸化水素の存在下で種々の酸化剤(次亜塩素酸など)により酸化され420~450nmに発光する現象を利用してO2-産生を測定する。
しかしながら、ルミノールはO2-に対して特異的に反応して発光するものではなく、特にミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性をもつ好中球ではルミノールを酸化して強く発光させる次亜塩素イオンの生成がMPOによって触媒されることから、好中球のMPO活性を検索する上で有効な検査となる。