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好中球走化能検査(1総論)

【読み】
こうちゅうきゅうそうかのうけんさ(いちそうろん)
【英語】
chemotaxis、chemotactic activity
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【同】遊走能、運動能、走化性
【意義・目的】好中球は細菌感染が生じると骨髄や血流中から動員されて炎症局所に集積する。この動員は細胞のアメーバ様運動によるものであり、運動の方向は走化性因子(chemotactic factor)の濃度勾配によって決定される。これを走化性(走化能;chemotaxis)という。走化性の特徴は、走化性因子とそれに引き寄せられる細胞との間に特異性が存在することであり、炎症局所への選択的な動員は単なる非特異的な細胞の移動(random migration)だけではなく、特異的な細胞運動としての走化性が不可欠である。したがって走化能検査は、負食能や殺菌能とともに好中球の重要な機能検査の1つである。
実際に走化能を検査する場合には、好中球自身の走化能と好中球を取り巻く環境因子について検討する必要がある。走化性因子を大別すると、A.免疫グロブリン由来因子、B.補体由来因子、C.細胞由来因子、D.細菌由来因子、E.その他の因子に分類される。
【走化能の検査法】走化能の検査法は、in vivoによる方法とin vitroによる方法とがあり、一般には後者を用いることが多い。その代表的なものとしてBoyden変法およびアガロースプレート法がある。
【測定原理】
1)Boyden変法(ミリポアフィルター法):二分されたチャンバーの境に好中球が走化性因子に向かって移動する時のみ通過できる大きさの穴(直径3~8μm)が多数あいているメンブレンフィルターを使って走化する能力をみる方法である。下室に走化性因子、上室に好中球浮遊液を入れ、一定時間反応させた後、固定した細胞を染色し、フィルター下面まで走化した好中球を算出する。
2)アガロースプレート法:アガロースと組織培養用のプラスチック皿との間隙を走化させ、皿の上に固定した細胞を染色して移動距離を測定する方法である。