好中球走化能検査(2各論)
- 【読み】
- こうちゅうきゅうそうかのうけんさ(にかくろん)
- 【英語】
- chemotaxis、chemotactic activity
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【同】遊走能、運動能、走化性
好中球の運動は走化因子の濃度勾配に逆らって方向性をもって運動する走化能(chemotaxis)と、走化因子の均等な濃度のなかで自在にその速度が変化する科学運動性(chemolinesis)および走化因子とは無関係に方向性をもたない乱移動(randam migration)がある。
【検査法】
1) 末梢血および歯肉溝好中球浮遊液:採取法は末梢血および歯肉溝好中球の項に記載した方法に準じて行う。
2) 標準走化性因子:N-フォルミル-L-メチオニル-L-ロイシル-L-フェニルアラニン(FMLP)を走化因子とする。
【1】FMLPはエタノールにて10-2M濃度に溶解し-20℃で保存する。
【2】使用時にハンクス溶液で10-6~10-9M濃度に希釈する。
3) 走化能の測定:Boyden変法の48穴走化チャンパーを用いる方法は試料が少量で済み、一度に多くのサンプルについて測定ができる。このため細胞数に制約を受ける歯肉溝好中球を用いて走化能を検査する際に有用である。
【1】下室のウェルに走化性因子を満たした後に孔径3μmのポリカーボネートメンブレンフィルターおよびシリコン製ガスケットを装着する。
【2】次いで上室を取り付けこのウェルに好中球浮遊液50μlを加える。
【3】5%CO2-95% air の気相下で37℃、60分間反応させる。
【4】反応終了後、メンブレンフィルターを取りはずし、血液染色液(Diff-Quik)による固定および染色を行う。
【5】走化細胞数は400倍顕微鏡かでフィルター下面まで走化した好中球を算出する。
4) 注意および他の方法
【1】走化因子とフィルター間に空気が混入しないように注意する。
【2】走化因子がフィルター上に溢れないように注意する。
【3】その他の方法として、51Crで細胞を標識し、その放射活性を測定する方法やフィルター内を走化した細胞の距離を測定する方法などがある。