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好中球貪食能検査(1総論)

【読み】
こうちゅうきゅうどんしょくのうけんさ(いちそうろん)
【英語】
phagocytosis、phagocytic activity
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【同】捕食能、異物取り込み能、食作用
【意義・目的】炎症局所に動員された好中球は、細菌などの有害物質を認識し、これを細胞内へ取り込む機能を有している。物質が細胞内へ取り込まれる方法には、イオンやグルコースなどが受動的あるいは能動的輸送によって取り込まれるほかに、蛋白質やリポ蛋白質が取り込まれる場合の飲作用(pinocytosis)と細菌や顆粒が取り込まれる場合の食作用(phagocytosis)がある。そしてこの両者を総称して細胞摂取活動(endocytosis)あるいは広義でいう食作用と称している。
in vivoでの正常な貪食・殺菌反応は、好中球と種々の液性因子によるいくつかのステップの連続反応(走化性-オプソニン作用-付着-食作用-脱顆粒-細胞内殺菌)からなっている。つまり、初期段階のみの障害が後期の反応にまで影響を及ぼす場合がある。たとえば、Chediak-Higashi症候群の機能的病因は、走化能障害と脱顆粒障害であり、この結果が好中球機能の総決算である細胞内殺菌能の低下に反映される場合がある。またこれとは逆に、慢性肉芽腫症のように最終段階の細胞内殺菌能に障害があり、他の反応はすべて正常な場合もある。このようなことから、各ステップでの好中球機能を調べることが必要であり、貪食能検査は食作用を調べる重要な検査である。
【貪食能の検査法】貪食能の検査には、測定に用いる異物の種類や計測方法の違いによりいくつかの検査法がある。すなわち、墨汁取り込み試験、パラフィン油滴取り込み試験、細菌取り込み試験、イーストあるいはラテックス粒子取り込み試験などがある。ここでは細菌取り込み試験について解説する。
【原理】一般に捕食させる細菌は、ブドウ球菌や大腸菌などのH2O2を産生しない、カタラーゼ陽性菌群が用いられる。これらの菌を血清によりオプソニン化し、これを好中球浮遊液に加え一定時間反応させ、その後細菌を取り込んだ好中球数あるいは好中球内に取り込まれた菌数を計測する。計測方法としては、(1)顕微鏡下で直接数える方法、(2)あらかじめアイソトープでラベルした菌を用いることによりアイソトープのカウント数から菌数を知る。方法などがある。