根管の腐敗臭試験(嗅診)
- 【読み】
- こんかんのふはいしゅうしけん(きゅうしん)
- 【英語】
- smelling examination
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【意義・目的】根管内から発せられる臭気を鼻でかぎわけ、患歯の病態あるいは根管内の状況を検査する試験法のこと。
壊疽性歯髄炎や歯髄壊疽の根管内容物は腐敗臭を伴うことから、これらの病型を壊疽性疾患として臨床的に鑑別することが可能であるといわれている。また、前回治療時に根管内に包摂したブローチ綿線あるいはぺーパーポイントに吸着した特有の臭いを検査することは、根管内の清潔度を知るうえでも重要な治療項目であるとされている。歯髄組織が腐敗すると、遊離アミノ酸類、アミン類、アンモニア、硫化水素、メルカプタン、ポリペプチド、脂肪酸などを含む特有の悪臭を発する物質が産生される。したがって、根管内の悪臭が治療の経過に伴い消失した場合、根管の清掃・拡大が十分に行われ、根管内の腐敗産物が著しく減少したことが示唆される。しかしながら、根管が無臭であるからといって必ずしも無菌であるとはいえないので、その他の根管内の清潔度を観察できる根管内診査項目も併せて総合的に判定することが重要である。