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混合唾液量の測定

【読み】
こんごうだえきりょうのそくてい
【英語】
measurement of salivary flow rate
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【意義・目的】 唾液分泌量は健常人においても、その状況によってかなりの違いがある。さらに、唾液腺自体の疾患はもちろんのこと、唾液分泌に関連した神経の障害、種々な全身疾患、服用薬などさまざまな因子により影響を受ける。唾液分泌量の測定は、混合唾液(全唾液)および各腺唾液(耳下腺唾液など)で行われる。また、できるだけ安静にした状態での唾液(安静時唾液)と積極的に種々な分泌刺激を行いながら採取する場合(刺激唾液)とが区別される。分泌量の正確な測定あるいは唾液組成の定量的分析を行う場合には、できるだけ条件設定を均一にし、各腺唾液を採取する。一方、齲蝕や歯周疾患あるいは口腔粘膜疾患などと関連して、口腔という生態系を全体として把握する場合、局所免疫として重要なIgAなどは小唾液腺から多く分泌されるため、むしろ、安静時の混合唾液が望ましい。
【検査法】
 1)安静時混合唾液量の測定:自然に流出した唾液が口底前方にたまるように、被検者のオトガイをやや引き気味にして、らくな姿勢で椅子にすわらせる。1分間隔ぐらいに、口底部にたまった唾液をピペットでしずかに吸引採取し、その量を量る(吸引法)。
  他の方法として、あらかじめ重さを測定しておいたコットンロールを口底部に置き、これに唾液を吸収させ、一定時間後にその重量を量り、唾液量を算出する(コットンロール法)。
  種々の変動因子があるため、測定値の評価・意義づけはむずかしいが、1ml/10分間以下は分泌不良とするのが一般的である。
 2)ガム(あるいはパラフィンワックス)試験:咀嚼運動は唾液分泌刺激の1つである。ガムあるいはパラフィンワックスを噛ませながら、口腔内に流出してきた唾液を30秒間隔ぐらいに試験管(あるいはビーカー)内にはき出させて、それを計量する。多量の気泡ができるため、しばらく放置するか、遠沈後測定するとしやすい。これも目安であるが、10ml/10分間以下の場合に分泌低下と判定するのが一般的である。