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根分岐部診査

【読み】
こんぶんきぶしんさ
【英語】
examination of furcation involvement
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【定義】複根歯あるいは多根歯の根分岐部、すなわち、槽内中隔に生じた病変を診査することをいう。
【目的】根分岐部病変がどの程度であるかを診査することを目的とする。
【適応疾患名】歯周疾患および歯内疾患。
【検査法】根分岐部病変の原因としては、炎症性歯周疾患の根分岐部への波及、咬合性外傷、エナメルプロジェクションおよび歯髄疾患(側枝、副根管、髄床底などの穿孔)などがあげられる。その検査法としては、主として探針による方法とX線写真による方法とがある。探針による診査は根分岐部用探針(ファーケーションプローブ)を用いて、上顎大臼歯では頬側中央、口蓋近心、口蓋遠心の3方向から、下顎大臼歯では頬舌2方向から、上顎小臼歯では近遠心2方向から探針を挿入してその程度を診査する。ただし、この場合でも、次に述べるX線写真を参考にしながら行わなければならない。
X線写真による診査は、通常、デンタルフィルムを使用して行う。しかしながら、X線写真は平面的なものであり、複根歯や多根歯と槽内中隔に囲まれた密室のような分岐部病変を、1枚のフィルムで読みとるのはなかなか困難である。したがって、X線照射の方向や角度を変えたり、また、歯局ポケットとの関係も考慮に入れ、シルバーポイントやガッタパーチャーポイントを挿入したりして撮影を行う。
【結果】根分岐部病変の分類方法にはいろいろあるが、広く臨床に用いられている方法としては、以下のようなものがある。
・Lindheらの分類
1度:歯周支持組織の水平方向の喪失が歯の幅径の1/3を超えないもの。
2度:歯周支持組織の水平方向の喪失が歯の幅径の1/3を超えるが、根分岐部の幅の全体には及んでいないもの。
3度:根分岐部の歯周支持組織の水平方向への破壊が、through-and-through(完全な通過)の状態になったもの。
・Glickmanの分類
1級:根分岐部の歯根膜に病変があるが、肉眼的およびX線的に骨欠損の認められないもの。
2級:根分岐部の一部分で骨が破壊されているが、その部の歯槽骨および歯根膜の一部が正常な状態で残っているもの。
3級:根分岐部は歯肉で覆われているが、その部位の骨は探針が頬舌的あるいは近遠心的に貫通できる状態まで破壊されているもの。
4級:根分岐部が口腔内に露出しており、また探針が何の障害もなく貫通できるような状態まで歯周組織が破壊されているもの。