細菌検査(根管の)
- 【読み】
- さいきんけんさ(こんかんの)
- 【英語】
- bacteriologic examination
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【意義・目的】根管内の無菌化は、根管形成拡大および根管充填とともに、根管処置を成功へ導くための要件の1つである。細菌検査は、根管内の細菌学的状態を知る唯一の客観的手段である。
【検査法】根管内細菌検査の方法には、塗抹検査法と培養検査法とがある。細菌培養検査は項を改めるため、塗抹検査法のみについて記す。
1)ラバーダム防湿。
2)患歯および周囲術野の消毒。
3)仮封剤の除去。
4)根管内の綿栓またはぺ一パーポイントを取り出し、脱脂したスライドグラスに塗抹(綿栓またはペーパーポイントが乾燥状態であれば、スライドグラス上に水を1滴とって塗抹するか、根管内に滅菌水を滴下した後に滅菌ペーパーポイントにて吸水し塗抹する)。
5)自然乾燥。
6)塗抹面を上にしたスライドグラスを保持し、火炎(還元炎)内を2~3回通過させて固定。
7)グラム染色*1またはメチレンブルー染色*2。
8)水洗、乾燥後油浸レンズにて検鏡。
【結果・評価】細菌の観察にはグラム染色が適している。メチレンブルー染色は細菌と細胞成分とが同時に観察できる。塗抹検査法は、通常、根管充填時期を決定する一手段とされているが、短時間で標本ができるため、患者に治療経過を説明する場合にも応用できる。また、通常の培地、培養法では増殖しない微生物に対し、塗抹検査法は培養検査法より有効であるが、微生物の生死は判定できない。
難染色性の微生物に対しては、位相差顕微鏡あるいは暗視野顕微鏡を使用するが、専門機関において行われるのみである。
*1 グラム染色:ゲンチアナ紫で1分間染色-ルゴール液で2~3回洗う(1分間)-水洗-無水アルコールで脱色(30秒間)-フクシン希釈液で1分間後染色。
*2 メチレンブルー染色:メチレンブルー染色液を30~60秒作用させる。