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細菌培養検査(同定)

【読み】
さいきんばいようけんさ(どうてい)
【英語】
culture test of bacteria
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【定義】培養検査には、(1)不純な材料から特定の菌を探し出すもの、(2)材料中のすべての細菌を調べるもの(以上分離培養)、(3)性質のわかった1種類の菌を培養するもの(純培養)、(4)複数の菌を混合して培養するもの(混合培養)とがある。そのような手順を経て得られた菌を形態学的、生理学的、免疫学的性状を調べて、その組み合せから歯種を決定するのが同定検査である。
【意義・目的】歯性感染症の多くは混合感染であるから、まず(2)の方法により菌を培養分離し、(3)または(4)の方法で増菌する。結核、放線菌症、真菌症などが疑われるときは(1)の方法をとることもある。
【検査法】
1)分離培養:好気的培養と嫌気的培養があるが、両方とも実施しなければならないことが多い。また検査材料をただちに平板培地に塗抹する直接法と、適当な増菌用培地で増菌してから分離する間接法とがあるが、なるべく前者が望ましい。
分離にはBHIまたはMuller-Hinton寒天培地、血液寒天培地を用い、白金耳で画線塗抹し、37度C、1夜培養する。増殖したコロニーは肉眼的に分類し、各々塗抹標本を作って確認し、純培養用の培地に移す。特殊な菌が予測されるときは専用の分離培養を用いる。結核菌には小川の培地、真菌にはSabouraud培地など。
2)純培養:分離された菌は純培養に移される。好気性菌は液体培地や寒天斜面培地、嫌気性菌は穿刺培養やパラフィン重層法などが用いられる。
3)同定:コロニーの形態、溶血性の有無、生育条件、染色性、形態などから大体の菌種が推定できる。さらに同定をすすめるためには酵素活性、糖分解度、硝酸塩の還元、インドール産生、硫化水素産生、コアグラーゼ試験などの検査を行い、抗血清があれば、免疫学的性状も検査する。ただし臨床検査ではそこまで必要のないことが多い。
【結果・評価】混合感染の場合は培養条件によく適合した菌が大量に増殖し、他の菌が消滅してしまうことがある。分離培養の前に増菌を試みると、この危険性が2倍になる。あらかじめ塗抹標本によって、存在する菌の種類や性格を予測し、培地や方法を選択する。治療室から検査室までの運搬条件も重要な因子となる。