細胞診(根管の)
- 【読み】
- さいぼうしん(こんかんの)
- 【英語】
- cytodiagnosis of root canal
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【定義・目的】根管内浸出液を採取後、塗抹標本を作製して、根管内浸出液中に含まれている細胞成分を検査することが目的である。この細胞成分から根尖性歯周組織炎の経過および病態を判定する。
【検査法】一般にギムザ染色法を行う。
1)患歯にラバータム防湿を行う。
2)手術野の消毒を行う。
3)髄室を開拡する。
4)根管口を明示する。
5)根管内浸出液が採取できるように根管を拡大する。だいたいの目安としては、リーマ、ファイルなどで20号ぐらいまで拡大する。
6)ペーパーポイントを根管内の根尖孔付近まで挿入する。
7)根管内浸出液をペーパーポイントに十分湿みこませた後に根管内から取り出す(根管内に約1分間放置する)。
8)取り出したペーパーポイントに含まれている浸出液の一部をスライドグラスに塗抹する。浸出液が少量で塗抹できないときは、スライドグラス上に滅菌蒸留水を一滴置いてから塗抹する。
9)直接塗抹部に火炎があたらないように、スライドグラスの裏面から火炎で塗抹部を乾燥させる。または自然乾燥する。
10)塗抹乾燥したスライドグラスを1~2分間純メタノールに浸漬する。所定の時間が経過したらそれを引き上げ、すみやかに乾燥する。
11)10倍に希釈したリン酸緩衝液1mlに1~2滴ギムザ染色液を滴下した溶液を標本面に満載する。
12)15~30分後に水洗する。気温が高いときは時間を短く、低いときは時間を長くする。恒温槽中で染色すれば、一定の時間でよい。
13)乾燥後、油浸レンズにて鏡検する。
【結果・評価】膿性の浸出液のときは、白血球が多く、漿液性の浸出液のときは、変性した白血球がみられる。その他の細胞としては、根尖病変が歯根肉芽腫、歯根嚢胞であれば、その中に存在する炎症性細胞であるリンパ球、形質細胞、組織球などが観察される。