細胞性免疫の測定
- 【読み】
- さいぼうせいめんえきのそくてい
- 【英語】
- measurement of cellular immunity
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【定義】 細胞性免疫とは、液性抗体によらない、すなわち細胞(主としてリンパ球、マクロファージ)による免疫応答をいう。したがって、これらの細胞の免疫応答能を測定することをいう。
【目的】 特異抗原(結核菌など)による感作の有無や非特異抗原に対する免疫応答を知るために行われる。
【適応疾患名】 結核症、AIDSなどの感染症、接触性過敏反応、免疫不全症、悪性腫瘍などの診断、治療、あるいは予後の判定。
【検査法】 生体内(in vivo)および生体外(in vitro)の検査があり、両者とも主にリンパ球のうちT細胞の機能が検査される。これまでに種々の検査法が開発されてきているが、手技上の問題から、現在日常的にはin vivoの検査として遅延型皮膚反応、in vitroの検査としてリンパ球のサブポピュレーション、T細胞のサブセット、リンパ球幼若化反応が行われている。
1) 遅延型皮膚反応:抗原を皮内に注入あるいは皮膚に貼付して24時間以後に生じる皮膚の反応(発赤、紅斑、浮腫など)をみるものである。一次および二次遅延型皮膚反応があり、抗原として前者は生体がこれまで出会ったことのないもの(newly encountered antigen;PHA,DNCB)、後者はすでに生体が感作されていると考えられているもの(recall antigen;PPD,SK-SD,カンジダなど)が用いられる。
2) リンパ球のサブポピュレーションおよびサブセット:T細胞はヒツジ赤血球とのロゼット形成法で、B細胞は細胞表面免疫グロブリンをマーカーとした蛍光抗体法で検出される。T細胞のサブセットは、OKTシリーズあるいはLeuシリーズのモノクロナル抗体を用い、フローサイトメトリーによって測定される。これにより、インデューサー/ヘルパーT細胞(OKT4細胞)、サイトトキシック/サブレッサーT細胞(OKT8細胞)などの百分率が算定される。
3) リンパ球幼若化反応:末梢血よりリンパ球を分離し、マイトージェン(PHA、ConAなど)を加え培養し、3Hチミジンの取り込みを液体シンチレーションカウンターで測定する。
【正常値】皮膚反応は、カンジダを抗原とした場合を除いて健常人80%以上が陽性.末梢血のT細胞70~80%、末梢血T細胞サブセットはT4細胞が60%、T8細胞が30%程度である。リンパ球幼若化反応は健常人を対照として評価される。
【結果・評価】皮膚反応陰性の場合は、細胞性免疫能の不全ないしは低下が疑われる。T細胞あるいはT細胞サブセットの比率単独で細胞性免疫能を云ぬんすることは難しいが、T4細胞とT8細胞との比が臨床的に用いられており、AIDS、B型肝炎などで低下することが知られている。リンパ球幼若化反応についても、経過を追って繰り返し測定して評価する必要がある。