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酸フォスファターゼ

【読み】
さんふぉすふぁたーぜ
【英語】
acid phosphatase, ACP
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【意義・目的】ACPは酸性pH下でリン酸エステルを水解する酵素である。骨転移を伴う前立腺癌患者血清でACPが上昇することから、本酵素は主として悪性腫瘍におけるマーカーとして、進行性前立腺癌の診断に用いられる。またACPは前立腺にきわめて多量に含まれているほか、赤血球、骨、血小板、白血球、腎、肝などの臓器に分布しているため、骨疾患、血液疾患、肝・胆道系疾患などの診断にも応用される。
【適応性疾患名】
1)前立腺癌。
2)骨、肝転移を伴った悪性腫瘍:乳癌、胃癌、気管支癌など。
3)骨疾患:骨肉腫、クル病、多発性骨髄腫、Paget病など。
4)血液疾患および網内系疾患:白血病、骨髄腫、Gaucher病、Hodgkin病など。
5)肝・胆道系疾患:肝炎、肝硬変、黄疸、胆嚢炎など。
6)その他:副甲状腺機能亢進症、血小板減少症、心筋梗塞など。
【検査法】ACPの測定法には酵素法と免疫法があり、いずれも検体として血清を用いる。酵素法はACPによって基質が水解されることを利用したもので、PP(phenylphosphate)を基質として用いるKind-King法、TMP(sodium thymolphthalein monophosphate)を基質として用いるRoy法などがある。また、免疫法はウサギおよびヒツジを用いて作られた抗PAP(前立腺性ACP)抗体と抗原(PAP)との競合を利用したもので、SF(seminal fluid or plasma)を抗原として用いるde Vries法、PC(prostatic carcinoma)を抗原として用いるLee法などがある。
【正常値】
Kind-King法 0~4単位/100ml
Roy法 0.8n/l以下
de Vries法 1.2u/l以下
Lee法 9.8ng/ml以下
【結果・評価】ACPは前立腺に多量に含まれていることから血中ACPの測定は主として前立腺癌の診断と治療効果の判定に用いられている。血清ACPの上昇は、前立腺癌の存在、再発を示唆する指標と考えてよい。また、血清ACPは他の悪性腫瘍、骨疾患、血液疾患、肝・胆道系疾患で上昇することがあり、これらの診断には他の検査法の併用を要する。