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自己抗体検査

【読み】
じここうたいけんさ
【英語】
autoantibody test
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【定義】自己の構成成分に対する血清中の抗体(自己抗体)を検出すること。
【目的】自己免疫疾患の確定診断、病勢の評価のため行う。また、自己抗体の出現が、発症に予告的な価値を持つ場合がある。
【検査法】主な自己免疫疾患とその抗原およびそれらの検出法であるが、そのうち歯科領域では抗IgG抗体(リウマチ因子)、抗核抗体、抗表皮抗体、抗赤血球抗体などの検出が行われている。
1)抗IgG抗体(リウマチ因子):ヒト加熱変性IgGを吸着したラテックス粒子に血清を加え、凝集反応によって検出する。
2)抗核抗体:蛍光抗体間接法によって検出する。すなわち、マウスの肝の凍結切片やヒト白血球の塗沫標本に患者血清を反応させ、さらに抗ヒト免疫グロブリン蛍光標識血清と反応させた後、蛍光顕微鏡で観察する。
3)抗表皮抗体:正常皮膚、モルモット口唇皮膚、あるいはサル食道粘膜などの凍結切片を作って、抗核抗体と同様に蛍光抗体間接法によって抗表皮細胞間物質抗体(天疱瘡抗体)あるいは抗基底膜抗体を検出する。
4)クームス試験:赤血球に付着している不完全抗体の検出(直接法)と血清中の不完全抗体を検出する方法(間接法)があり、自己免疫性溶血性貧血などの疾患で行われる。直接法は被検者の赤血球に抗ヒトグロブリン血清を加え、凝集の有無によって判定する。間接法はO型赤血球に被験者の血清を加えて37℃30~60分インキュベートしたのち、遠沈した赤血球に抗ヒトグロブリン血清を加えて凝集の有無を判定する。
【結果・評価】抗原が臓器特異的なものであれば、自己免疫疾患の確定診断ができる。抗核抗体などの非特異的な抗原に対する抗体やリウマチ因子、あるいはクームス試験陽性は、種々の自己免疫疾患でみとめられる。たとえば、リウマチ因子は慢性関節リウマチで70~80%検出されるが、そのほかの自己免疫疾患でも20%程度検出される。したがって、他の検査を併用して診断する必要がある。なお、臓器特異的な疾患においても、自己免疫疾患が重複していれば複数の自己抗体がみられる。