専門情報検索 お試し版

腫瘍マーカー

【読み】
しゅようまーかー
【英語】
tumor marker
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【定義】癌細胞が産生し、非癌細胞が産生する物質とは質的あるいは量的差異を示す物質をいう。
【目的】癌の局所反応を表さない早期に癌に特異的な検査所見をとらえて簡便な方法で癌発生の有無をスクリーニングする。あるいは組織診断の補助診断法として、また癌患者の治療、経過追跡の指標として用いる。
【適応疾患名】悪性腫瘍。
【腫瘍マーカーの測定法】それぞれの物質の性状を利用して免疫測定法、生化学的測定法、電気泳動法、生物学的測定法、アフィニティー測定法などが用いられる。最も広く用いられるのは免疫測定法(IA)である。従来腫瘍マーカーによる癌診断法は体液などを用いたが、最近では、IAを用いたtumor imaging、免疫病理組織診断などの形態学的診断が普及しつつある。
IAにはラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素免疫測定法(EIA)などが用いられる。同法では、測定系の選択が重要であるが、基本的には結合力の高い良質の特異抗体を用いることにより、ng/mlからpg/mlのオーダーまでも測定が可能である。しかし、RIAはラジオアイソトープを用いるため廃棄物処理あるいは設備の問題などにより、現在では、EIAが一般的である。
EIAは抗体をペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、β-Dガラクトシダーゼなどで標識し、抗原抗体結合物あるいは結合していない抗体の酵素活性を定量することにより抗原や抗体量を測定する方法である。
【結果・評価】癌細胞のみに存在する癌特異物質の検出は実用化されていないため、単独の腫瘍マーカーでの絶対的評価は難しい。数種類のマーカーを組み合わせることにより、癌の早期検出、良性・悪性の鑑別、癌の病期判定、癌治療のモニターと予後の予測などを、より正確に評価することができる。