小窩裂溝齲蝕の診査
- 【読み】
- しょうかれつこううしょくのしんさ
- 【英語】
- pit and fissure caries test
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【目的】齲蝕の一般的な検査には、以下のものが日常の臨床で用いられている。
1)歯科用探針による触診(直、曲、有鉤探針)。
2)塗蝋絹糸。
3)歯鏡による視診。
4)光線による方法(透過光線、反射光線)。
5)冷刺激(冷水、氷柱、エチルクロライドなど)。
6)X線写真(咬翼法)。
7)色素による染色(ヨードチンキなど)など。
しかしこれらの視診、触診などの診査法を駆使しても小窩裂溝の初期齲蝕の診断は難しい。そこでエナメル質と象牙質とで電気抵抗値に差があることを応用して、齲蝕の罹患性および齲蝕の進行状況を電気的に診断する方法が試みられている。この方法はまた、窩洞形成後の不顕性露髄の発見にも応用できる。
測定用機器にはカリエスメーター、エンドドンティックメーター、アノードSデラックス、ルートカナルメーターなどがあり、機種により電流値、周波数が異なり、したがって、測定値も異なるばかりでなく、大きな電流を用いるものでは、測定時電流により歯髄が刺激され、患者に痛みを与えることがあるので使用時には注意を要する。
【検査法】電気的測定器の応用
・カリエスメーターを使用する場合:本器は400Hzの交流を用い、10-6A程度の通電をして103~106Ωのインピーダンス絶対値を測定するものである。
1)カリエスメーターのスイッチを入れる。
2)歯面に付着しているプラークなどを除去する。
3)ラバーダム防湿(簡易防湿)を施す。
4)歯面の乾燥をする。
5)歯頸部にワセリンを塗布する。
6)測定用端子の一方を排唾管に接続し、口腔内に入れる。
7)咬合面裂溝部に生食水を1滴たらす。
8)測定用の両端子を接続させ、SETつまみを動かしメーターの0点を合わせ、測定器の調整を行う。
9)咬合面裂溝内に測定用探針を当てメーターを読む。
【結果・評価】600kΩ以上のインピーダンスをもつ小窩裂溝には齲蝕の危険はなく、したがって、処置を必要としない。599~251kΩのときは経過観察を行い250kΩ以下に抵抗が下がったならばただちに処置を行う。250kΩ以下のときは象牙質齲蝕があるかあるいは間もなく齲蝕に罹患する危険性があるので、外見のいかんにかかわらずただちに処置を行う(黛による)。