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上皮細胞のラミニン遊走能検査(歯肉)

【読み】
じょうひさいぼうのらみにんゆうそうのうけんさ(しにく)
【英語】
chemotaxis assay of gingival epithelial cells to laminin
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【定義】 ラミニンによる上皮細胞の遊走脳を指数を用いて半定量的に表現すること。
【意義・目的】 ラミニンは分子量約100万の糖蛋白で、上皮細胞基底膜の特徴的な構成成分であり、上皮細胞を結合組織のコラーゲンtype IVに結合させる働きがある。口腔領域においても、口腔粘膜上皮と結合組織、あるいは接合上皮細胞と歯の硬組織との付着構造への関与が示唆されている。また、上皮細胞の増殖活性を高め、歯ならびに結合組織との付着を促進するなど、創傷治癒過程においても重要な役割を担っていると考えられている。本検査は、上皮細胞の再生能力を検討するため、in vitro でラミニンに対する上皮細胞の走化性の測定を行う。
【検査法】 modified Boyden chamber 法
 1) 口腔内より採取した歯肉片を上皮細胞層のみに分離し、トリプシン-EDTAにてsingle cellにして200μg/ml牛血清アルブミンを含むmodified Eagle培養液あるいはTC-199培養液中で数日間培養し、細胞浮遊液を作成する。
 2) 二分されたBoyden chamberの境にpore size 8~12μm、厚さ約150μmのフィルターを置き、上室には上皮細胞浮遊液(2.5×105細胞/ml)を入れる。走化性因子としてのラミニンは、上室、下室それぞれに、異なった濃度のものを組み合わせて入れ、37℃、5%CO2にて6時間培養する。
 3) 反応後フィルターを取り出し、ホルマリンで細胞を固定、洗浄後、ヘマトキシリンあるいはクリスタルバイオレットにて染色し、アルコール脱水、キシレン透徹後スライドグラス上に封入する。
 4) 400倍の顕鏡下で、フィルター上、下面に付着した細胞数をそれぞれ10視野ずつ計測する。
【正常値】 最大48±9(10-8M)
【結果・評価】 走化性指数=100×〔フィルターの下面に付着した細胞数/(フィルターの下面に付着した細胞数+フィルターの上面に付着した細胞数)〕。指数が大きい程移動した細胞数が多い、すなわち走化性が高いことになる。