静脈圧測定
- 【読み】
- じょうみゃくあつそくてい
- 【英語】
- measurement of venous pressure
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【意義・目的】循環機能不全の鑑別診断上、重要である。静脈圧に関与する因子は、循環血液量、血管容量、血流速度、静脈壁の緊張、静脈周囲の組織の緊張・圧、胸膜腔内圧・呼吸作用などである。
【適応疾患名】
1)静脈圧の上昇:収縮不全、ことにうっ血性右心不全、静脈の圧迫、血栓、胸腔内圧の上昇(気管支喘息、肺気腫、大動脈瘤、縦隔腫瘍など)。
2)静脈圧の下降:循環血液量の減少、血流速度の低下、血管麻痺など。
【検査法と正常値】
1)静脈圧目測法(Gartner法):上肢を心臓の位置から10cm以上挙上して、前腕の表在静脈を観察する。正常な場合は、表在静脈は萎縮する。静脈圧の上昇がある場合は、怒張がみとめられる。なお、心臓の位置より下げても怒張しない場合には、静脈圧の低下が疑われる。
2)末梢静脈圧測定法(Moritz-Tabora法変法):注射器に付けた三方活栓と垂直に立てたガラス管(内径3mm、長さ40cm)を連結してこれらを3.8%クエン酸ナトリウム液で満たす。
次いで肘静脈を穿刺して三方活栓を開けばガラス管内のクエン酸ナトリウム液は静脈内に流入し、呼吸性の上下動を示しながら一定の高さ・静脈圧と平衡する水柱の高さで安定する。その液面と心臓の高さ・0点(右心房の高さを基準として、水平仰臥位では第4肋骨と胸骨付着部位の胸骨表面から胸厚の1/3に相当する高さだけ低い点を0点として)との差を測定する。水平仰臥位の肘静脈の正常値は5~10cmH2Oである。
3)中心静脈圧測定:中心静脈圧測定の項を参照。
【結果・評価】
1)運動、精神的興奮、咳嗽などによる静脈圧の上昇に配慮する。
2)静脈穿刺による疼痛と緊張は、静脈を収縮させる。
(付)半坐位における頸静脈の視診によっても、怒張の所見は臨床的に十分評価できる。