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触診

【読み】
しょくしん
【英語】
palpation
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【定義】手指を用いて局所的な症状を把握する診断方法である。また消息子(ゾンデ)による骨面の状態の診査や歯科用探針(エキスプローラー)による歯科領域における歯の診査なども触診の一種である。
【意義・目的】視診にて腫脹、変形を認めた部位を触知することによって、同部位の硬度や硬結、腫瘤、可動性、圧痛、熱感、波動の有無、また周囲との境界などを調べる。
【方法】腫脹の診断や粘膜における感覚異常および疼痛診査などにも用いられるために、手指を用いるが、腫脹部については主として左右の手指を用いる。腫脹が小さな場合は、母指と示指によってつまむように触診する。腫脹が大きい場合は全指を用いてつかむようにこれを行う。
1)口底の触診:右手示指を口腔内へ、左手示指、中指、薬指で顎下部を外より押し上げる(唾石、舌下腺・顎下腺の腫脹)
2)リンパ腺の触診:示指、中指、薬指を用いて、少し押しつけるようにして動かし、周囲組織との可動性、大きさ、圧痛などをみる。(炎症反応によるリンパ腺の腫脹、悪性腫脹のリンパ腺転移、リンパ節結核など)。
3)前頬部の触診:示指、中指で押さえ、圧痛の有無を調べる(上顎洞炎など)。
【評価】硬結の有無や周囲組織との境界は、腫脹性疾患の診断に有効である。腫脹部に波動が触れた場合、化膿性疾患では腫脹を形成し、膿が貯留していることを示し、また嚢胞性疾患の場合は、嚢胞が増大し顎骨が吸収している状態を示す。充実性として触知される場合は腫脹性疾患が疑われる。なお、触診による硬度の表現には、骨様硬、軟骨様硬、弾性硬などがある。