人格検査
- 【読み】
- じんかくけんさ
- 【英語】
- personality test
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【意義・目的】人格の特性や傾向、あるいはその障害を把えることを目的とした、各種の心理検査を総称したものをいう。
【検査法】
1)自己評価法:一定の質問項目を設定し、それに被検者が、それぞれの検査で定められている規制に従って回答を記入する。そして採点は2段階(はい、いいえ)、3段階(はい、いいえ、どちらでもない)、5段階などの尺度上でチェックする。方法は比較的容易で歯科医師、歯科衛生士などでも容易にできる。
2)投影法:文章完成法では“私は……”と記載してある試験紙に被検者がそれぞれの文句を埋めて文章を完成されるとか、ロールシャッハテストでは、検査刺激として左右相称形のインクのしみ(カログラフィー)10枚を用いて、この刺激図を被検者に見せて連想するものを列挙させ(自由連想段階)、次に図のどの部分を捉えたか(反応領域)、図のどのような特性からその反応語を連想したか(反応決定因)についての説明を求める(質問段階)。そしてこれらの資料を所定の記号によって整理、集計する。これを基にして性格を判断するわけであるが、それには一定の訓練が必要であり、一般の臨床ではほとんど用いられていないようである。
【結果・評価】患者の人格の特性や傾向あるいはその障害を把えなければ、十分の治療が行えない。人格を知るのには問診などを十分に行えば判明するはずであるが、近年ストレスの増加などから、患者は知らず知らずの間に性格の変化を起こしているような例も増加していることがあるようである。このような場合に人格検査のテストを行えば、問題が画一的であるために制約はあるが、おおよその見当がつくので、それを基にして問診などにより補正すればよい。
人格検査は、前述したように、自己評定法、投影法に大別できるが、歯科医師は自己評定法すなわち質問紙法に用いて検査を行えばよいと考えられる。投影法(わが国では代表的なものにロールシャッハテスト、文章完成法(SCT)、TAT、P-Fスタディ、描画法などがある)が、本法は深層心理にある心的傾向や葛藤の内容などを見いだせるところに利点があるものの、テスト反応が多様なあらわれを示すために、その整理や解釈の習得に困難であることなどから、歯科の臨床医がこれを用いるのはほとんどないのが現実である。
これに反して自己評定法(質問紙法)は、性格類型、行動上の特徴、思考様式の特徴、種々の心的葛藤の有無、病的性向の有無などについて質問項目があり、この方法は被検者が自分自身をどのように評定しているか、あるいはどのような自己を示したいと望んでいるかを知るうえで意味があるが、一方において被検者の主観に左右される、本人の自覚している像しか示されない、また意図的作意的に事実と異なる像を示す、たとえばヒステリー患者の如きものがある。などという限界がある。
質問紙法による自己判定法の代表的なものとしては、矢田部・ギルフォード検査(Y-G test)、ミネソタ多面人格検査(MMPI)、モーズレイ性格検査(MPI)などが用いられている。