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心機図

【読み】
しんきず
【英語】
mechanocardiogram
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【定義】種々の周波数をもつ心臓および大血管の機械的収縮過程(血行力学的変化)による各種振動現象を記録したもの。心尖拍動図、頸動脈波、頸静脈波、末梢動脈波、指尖脈波などの各種の脈波図および心音図、バリストカルジオグラムなどがこれに含まれる。
【意義・目的】これらの脈波の単独では心運動の機械的事象の全貌を表現することはできないが、これらを同時記録すれば詳細な循環動態の解析が非観血的にできる。心電図を参考誘導として、心尖拍動図、頸動脈波、頸静脈波および心音図を同時記録したものは心機図ポリグラムと呼ばれる。これを解析することにより左室収縮期時間(STI)が得られ、心機能、循環動態の評価が非観血的に行える。
【検査法】心機図を採取する時は原則として患者を仰臥位にする。心尖拍動図は心尖拍動の最強点にトランスデューサーを置く。頸動脈波は右頸部を伸展し、甲状軟骨と下顎骨の間で頸動脈の拍動を最も触知する部位にトランスデューサーを圧着し、位置と押しつける圧を調節して記録する。頸動脈波は右側頸部の鎖骨上窩で頸静脈球部位が視診される部位にトランスデューサーを軽く装着し、位置と押しつける圧を調節して記録する。心電図、心音図を同時記録する。心電図はQ波の始まりが明瞭な誘導を、心電図はII音の始まりが明瞭な部位を選ぶ。記録紙の紙送り速度は100mm/秒とする。
【結果・評価】左室収縮時間は左室駆出時間(LVET)、前収縮期(PEP)、PEP/LVETなどがある。LVETは左室の1回拍出量と相関するとされ、その延長は1回拍出量の増大を、短縮は減少を示す。PEPは心筋の収縮性を反映するとされ、その延長は収縮性の減少を、短縮は増大を示す。PEP/LVETは心ポンプ機能を反映し、その増加はポンプ機能の低下を、減少は亢進を示す。STIは前負荷、後負荷、心拍数などの影響を複雑に受けるのでその解釈は慎重に行うべきである。