腎クリアランステスト

【読み】: じんくりあらんすてすと
【英語】: renal　clearance　test
【辞典・辞典種類】: 歯科臨床検査事典
【詳細】: 【定義】血中の物質は腎において尿中へ排泄される。つまり血中の不要物質を腎が除去する（clear）働きをもっていると考え、これをclearanceと呼ぶ。そして腎が1分間に排泄処理した物質の量を、それを含んでいた血漿の量として表現する。つまり腎が1分間に処理した血漿量を表わしている。
【意義】クリアランス試験によって腎血液流量と糸球体で濾過された血漿量を知ることができる。腎機能を考えるうえで糸球体機能と尿細管機能の両者が重要である。しかしショック時のような低血圧を除けば、ネフロンの障害と糸球体濾過値の低下とは平行するので、クリアランス試験は臨床的に重要である。
1）パラアミノ馬尿酸は、腎を通過する際に完全に原尿中に濾過され尿細管からは排泄されることも、再吸収されることもなく尿中へ排泄される。したがって、このクリアランス値は単位時間に腎を通過した腎血漿流量renal　plasma　flow（RPF）を表わす。
C=UV/P
　C　クリアランス（ml/分）
　U　尿中濃度（mg/ml）
　V　尿量（ml/分）
　P　血漿濃度（mg/ml）
クリアランス値は体格によって差があるので、標準体表面積に換算して計算される。
2）イヌリン、クレアチニン、マンニットは体内で酸化分解されることなく、糸球体を通過する。尿細管からは排泄されることも再吸収されることもなく尿中に排泄される。これらの物質の糸球体濾液中の濃度は血漿中の濃度に等しく、1分間に尿中に排泄される量と1分間に糸球体で濾過されるこれらの量とは等しいので、そのクリアランス値は糸球体濾液の量を表わす。糸球体濾過値glomerular　filtration　rate（GFR）。
【適応疾患名】糸球体腎炎、ネフローゼ、うっ血性心不全、ショック、本態性高血圧症。
【正常値】
RPF：男　500～535ml／分
　　　女　480～515ml／分
GFR：男女平均　100ml／分
　　　　正常限界　70～130ml／分
【評価】腎機能のうちで糸球体は、原尿の産生に直接関与する濾過装置であり、クリアランステストによってその濾液量を知り機能障害の有無およびその程度を判定する。
RPFは血管性腎疾患、糸球体腎炎の末期には減少する。
GFRは糸球体腎炎、うっ血性腎、腎硬化症、膠原病で減少する。ネフローゼ症候群、糖尿病では実際よりも高い値を示すことがある。
GFRとRPFとの比を濾過率filtration　fraction（FF）といい、糸球体を流れる血漿流量の何％が濾液となるかを示す。正常値は0.2～0.22で、糸球体に出入りする細動脈の緊張の程度によって影響される。

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