ステロイドホルモン量検査(唾液)
- 【読み】
- すてろいどほるもんりょうけんさ(だえき)
- 【英語】
- examination of steroid hormones levels in saliva
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【定義】 唾液中のステロイドホルモン量を測定することをいう。
【意義・目的】 ステロイドホルモンの分泌機能異常は、身体の成長、発育や代謝機能ばかりではなく、炎症の憎悪にも関与し、歯周疾患の全身的因子の1つである。性ホルモンのアンバランスにより引き起こされる思春期性歯肉炎、月経性歯肉炎や妊娠性歯肉炎をはじめとして、糖尿病や副腎皮質機能不全など、ステロイドホルモンと歯周疾患との関連は深い。唾液中のステロイドホルモン濃度と血漿中のステロイドホルモン濃度の間には相関性が認められていることから、唾液中のステロイドホルモン量の測定は、内分泌機能を検査する有効な方法として用いられている。
【検査法】 唾液中のホルモン量は、ngもしくはpg/ml単位と微量なため、ラジオイムノアッセイ(RIA)法にて測定する。
RIA法は、一定量の抗体に対して未知試料である非標識抗原とRIでラベルした標識抗原とを競合させ、標識抗原の結合比により、未知試料の抗原濃度を測定する方法である。
1) 無刺激の混合唾液を試験管に約2~3ml採取する。
2) 室温で500×g、5分間遠心した上清を唾液試料として用いる。
3) 唾液1mlに〔125I〕標識ホルモン溶液0.2mlと抗ホルモン抗体溶液0.2mlを加え攪拌後、室温に静置し、24時間反応させる。
4) 1500×g、15分間遠心した後、上清を吸引除去し、沈査についてオートガンマカウンターで放射活性を測定する。
5) ホルモンの標準溶液にて作製した検量線により、唾液中のホルモン量を算出する。
【正常値】
男(成人):テストステロン 78.9~295.2pg/ml
女(成人):エストロゲン(エストラジオール) 卵胞期 2pg/ml以下、排卵期・黄体期 2~6pg/ml。プロゲステロン 卵胞期 50pg以下、黄体期 94~236pg/ml
グルココルチコイド(ヒドロコルチゾン) 3.99~9.91ng/ml
【結果・評価】 エストロゲンの分泌過剰は末梢血管の拡張作用や結合組織の増殖を示し、低下では抵抗力の減弱を示すといわれている。また、プロゲステロンの低下は、出血傾向を示すと報告され、妊娠性歯肉炎では、プロゲステロンの増加の関与が示唆されている。