舌圧テスト
- 【読み】
- ぜつあつてすと
- 【英語】
- tongue pressure test
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【意義・目的】舌は咀嚼に際し、口蓋や歯列舌面との間で食物を圧迫破砕するだけの力をもっている。また、舌は正常嚥下動作や発音に際し口蓋を圧迫する。歯列は舌によって内から外側に向かって圧迫されていると同時に頬や口唇によって外からも圧迫され一定の調和がとれている。しかし、舌の形態的・機能的異常が認められると、咀嚼機能の障害、嚥下や発音の障害を生じさせたり、歯列不正・不正咬合が現れてくる。そこで、舌の口腔諸組織に加わる圧を客観的に測定、把握し、診断の一助とするとともに治療過程の一指標とするものである。
【検査法】舌圧の測定方法には、ダイヤル・ゲージによる測定、ラバー・カプセルによる測定、ストレイン・ゲージによる測定の3つに大別できる。現在では、半導体ストレイン・ゲージで超小型圧力センサーを受圧装置としたものが最適とされている。すなわち、センサーにより舌圧を検知し、動ひずみ測定器のアンプルを介し、出力を電磁オシログラフで記録するのである。
【結果・評価】舌は安静時でも上下臼歯部舌側面に平均4g/cm2の圧を上顎切歯舌面には6g/cm2、下顎切歯舌側面には平均11g/cm2の圧を加えている(Winders、1956)。
舌尖が上顎前歯および歯槽の舌面に対して出し得る最大圧は平均562g/cm2であり、下顎前歯および歯槽の舌面に対して出し得る最大圧は平均400g/cm2、下顎の第1、第2大臼歯部舌面へは約90g/cm2である(Kydd、1957)。
舌が嚥下時口蓋に加える圧は口蓋の前部、側方部では平均85g/cm2で、中央部では52g/cm2にすぎない(Kydd and Toda、1962)。
無歯顎状態の人では舌がよくはたらかされるために舌の出す力が増加する(Rinaldi and Sharry、1963)。