線維素溶解測定法
- 【読み】
- せんいそようかいそくていほう
- 【英語】
- fibrinolysis test
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【意義】異常出血を生じやすい症状の中に、血液の凝固は正常に生じるが、その後、線維素溶解酵素の増加のために線維素が速やかに溶解することがある。これを線維素溶解(線溶)といい、この現象は線維素溶解酵素(Plasmin)の増加に起因して生じる。この線溶現象は、血餅としてのフィブリン凝塊にプラスミンが作用して、凝塊を溶解させる現象であって、病的状態では線溶が異常に亢進して、そのために出血を生じることがある。
【適応疾患名】異常出血の症状を呈するすべての症例は検査の対象となる。
【検査法】血栓の成立と溶解は、血管壁、血流、血小板などの状態、血液の凝固・線溶系の機能など多相の因子に関連する過程である。生体内の線溶現象にはフィブリン分解が著しく亢進する一次線溶現象(フィブリノゲン溶解)と、フィブリン溶解を主とした二次線溶現象(フィブリン溶解)がある。従来、各種のフィブリン溶解試験が用いられたが、いずれも検査に時間を要し、測定値の解釈にも問題が多いことから、近年は生体内のプラスミン分解により生成する血中フィブリン体分解の測定、可溶性フィブリンモノマー複合体の証明、線溶亢進により消費されるフィブリノーゲン、プラスミノゲン、抗プラスミンの血中レベルの低下、ユーグロブリン試験による血中アクチベータ活性の増加などの検査が主に行われている。線溶の検査には種々の方法があるが確実性のためには、複数の検査を行い総合的に判定すべきであろう。主な線溶現象の検査法をあげる。
1)ユーグロブリン溶解時間(ELT):血漿からユーグロブリン分画のみを分離しトロンビンを加えてフィブリン塊を形成させ、続いてプラスミノゲンアクチベータによってプラスミノゲンがプラスミンになり、フィブリン塊を溶解する。この時間を測定して線溶の短縮または延長として判定する。
・判定:正常値2~4時間
短縮のときはショック、フィブリノーゲン減少など、延長のときは血栓症、炎症、妊娠、プラスミノーゲン減少など、
2)フィブリン平板法:フィブリン平板上に一定量の検体を置き、18時間後にフィブリン溶解した円形窓を計測し、その積を線溶の強さとして判定する。判定は血漿そのものには、通常は溶解作用はない。正常値は、ユーグロブリン分画を用いた場合0~20mm2である。