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染色標本検査

【読み】
せんしょくひょうほんけんさ
【英語】
stainning test
【辞典・辞典種類】
歯科臨床検査事典
【詳細】
【定義】膿汁などの材料をスライドグラスに塗抹し、適当な染色液で細菌を染め出して、顕微鏡で検出する方法である。染色法としてグラム染色が広く用いられているが、一部の菌にはその染色特性に合わせて染色法も行われている。
【意義・目的】口腔領域の感染症は多数の菌の混合感染が多いから、病巣から採取した材料を直接塗抹した標本は、病巣中の菌のポピュレーションを最も正しく表現している。これにより疾患や病勢をある程度判断することもできるし、後に続く培養検査や感受性検査などの方法を決定することもできる。
【適応疾患名】結核、放線菌症、緑膿菌感染症、真菌症などは染色標本だけで診断が可能である。他に一般の歯性化膿性炎症。
【検査法】膿汁などの材料を白金耳でとって、スライドグラスに塗抹する。膿が粘稠なときは先に蒸留水を1滴落としておいてから膿汁をとり、希釈しながら塗抹する、放線菌菌塊はスライドグラス上に1粒とって、時計皿かカバーグラスで圧しつぶしながら塗抹する。いずれも乾燥後に火焔固定を行う。
1)グラム染色:Huckerのクリスタルバイオレット液で30秒~1分間染色し、水洗。ルゴール液をとりかえながら1分間固定する。水洗後濾紙で水を吸収し、純アルコールの中でスライドグラスを動かしながら脱色する。スライドグラスを引き上げてみて、滴下するアルコールが無色になるまで脱色する。塗抹の状態によりこの脱色時間は一定しない。その後サフラニン液で1分間対比染色をする。グラム陽性菌は紫、陰性菌は赤く染まる。
2)Ziel-Nielsen染色:結核菌をはじめ抗酸性菌の染色法。Zielの石炭酸フクシン液をスライドグラス上に滴下し、3~5分間、ときどき染色液を追加しながら焔の上で加熱染色する。水洗、乾燥後3%塩酸アルコールで脱色する。アルコールが無色になるまで数回交換する。対比染色はLofferのメチレンブルーで30秒間行い、水洗、乾燥する。薄青い背景に抗酸菌が赤く染まる。
3)その他の染色:単染色としてメチレンブルー染色、ギムザ染色なども行われる。操作が簡単であるが、膿汁などでは白血球などの背景も同色に染まるので、菌が識別しにくい。純培養した菌には便利である。
【結果・評価】菌の形態や染色性により、およその菌種の見当がつくので、それに合わせて培養法、同定順序、感受性検査すべき抗生物質などを選択する。