総鉄結合能
- 【読み】
- そうてつけつごうのう
- 【英語】
- total iron binding capacity, TIBC
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【定義】トランスフェリンと結合しうるすべての鉄量を総鉄結合能(TIBC)という。
【意義・目的】通常血清中では、トランスフェリンの1/3が鉄と結合しているにすぎない。これを血清鉄値といい、TIBCとこの値との差を不飽和鉄結合能(UIBC)という。これら三者の変動は、種々の疾患で異なるパターンを示しており、造血能の障害、貯蔵鉄の枯渇ないし過剰を起こす状態の鑑別に有用である。
【適応疾患名】貧血症、多血症、慢性感染症、ヘモクロマトージス、肝硬変症などである。
【検査法】血清に過剰の鉄を加えて、トランスフェリンを完全に鉄で飽和させ、残存する鉄を炭酸マグネシウムを用いるか、イオン交換樹脂を用いて、吸着除去したのち、鉄を比色定量する。発色には感度、特異性などの点からバソフェナンスロリンが主に用いられている。
【正常値】
TIBC 337μg/dl
UIBC 226μg/dl、血清鉄 110μg/dl
【結果・評価】TIBCの増加は、鉄欠乏時、真性多血症で認められるがその機転はよくわかっていない。逆に慢性感染症、悪性腫瘍、急性肝炎、低トランスフェリン症では減少する。なお血清鉄は、再生不良性貧血、急性肝炎で上昇し、鉄欠乏性貧血、慢性感染症、悪性腫瘍などで下降するので注意を要する。