待期的診断
- 【読み】
- たいきてきしんだん
- 【英語】
- expectative diagnosis
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【同】待期的鎮痛鎮静療法
【定義】診断を確定できない疾患歯において、その疑いのある歯に対して一定の処置を施し、その結果をもとに当初の疾患に対する診断を行なう方法。
【意義】歯髄疾患において、歯痛錯誤や関連痛などが生じた場合、患者の訴えだけでは、正確な患歯の部位や罹患の病態を把握することが困難なことがある。このような場合に疑いのある歯に対し症状の改善を期待して、鎮痛鎮静療法を施し、患歯の部位および病態の確定、診断を行う。
【検査法】この方法は、歯髄保存療法の一種と考えてもよい。つまり疑わしい歯に歯髄鎮静剤を応用し、その結果歯髄が示す反応から診断を下す。
【術式】
1)罹患歯質(軟化象牙質)をラウンドバーやスプーンエキスカベーターなどを用いて機械的に除去する。
2)露出歯面を滅菌蒸留水、生理食塩水、過酸化水素水で清掃後、乾燥する。
3)消炎鎮静剤を小綿球に浸し、窩洞歯面に貼布する。貼用鎮痛鎮静薬としては、石灰酸(フェノール)合剤(キャンフォフェニック、CMCP)、揮発油類(ユージノール・クレオソート・グアヤコール)、セメント類(酸化亜鉛ユージノールセメント)などを用いる。
4)露出歯面をストッピング、酸化亜鉛ユージノールセメントなどの仮封材で封鎖する。
【評価】消炎鎮痛療法後1、2週間から2か月間の経過観察後、温度診を行う。症状の消退または、緩解をみた場合は、罹患歯の部位の確定ならびに、歯髄炎の病態としては、可逆性の歯髄炎である歯髄充血または、急性一部性漿液性歯髄炎と診断して歯髄保存療法を行う。もし、症状の改善がみられない場合は、当初の診断部位の誤り、または非可逆性歯髄炎の罹患もしくは移行を示唆するを判断できる。この場合には、歯髄の全部除去を施すかまたは、他の疾患歯の存在を疑う。