唾液免疫グロブリン検査
- 【読み】
- だえきめんえきぐろぶりんけんさ
- 【英語】
- immunoglobulin in saliva
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【意義・目的】唾液中にはIgAを主体にIgM、IgG、IgDおよびIgEが含まれている。唾液中のIgAには、唾液腺内で形質細胞から合成された分泌型IgA(sIgA)と、血漿(および歯肉溝液)から唾液に取り込まれたものとがある。sIgAは分子量約16万のIgAモノマー2分子とJ-chain、さらに上皮細胞のsecretory componentと呼ばれる蛋白質とが結合した分子量約39万の型である。この構造からsIgAはpHや蛋白質分解酵素などの作用を受けにくく、抗菌作用も強い。口腔粘膜に侵入しようとする微生物の凝集、不活化、粘膜表面への接着防止、毒素やウイルスの中和などに働いている。唾液中のsIgA濃度は唾液分泌速度と関係があり、分泌量が増すとともに濃度は低くなる。したがって、安静時唾液で高く、反骨唾液では低い。また、口唇腺で最も高く、大唾液腺では耳下腺で高い。唾液中のsIgAは唾液腺の炎症性疾患、細菌ウイルスの口腔粘膜への侵入などにより増加する。唾液免疫グロブリン検査はび、Sjogren症候群をはじめ種々の唾液腺疾患および口腔粘膜疾患、さらに、齲蝕や歯周疾患と局所免疫系の主体と考えられるsIgA量との関連について研究がすすめられている。しかしながら、簡便さや精度などの点、さらに、複雑な唾液分泌機構などの点で問題が多く、一般臨床検査の域には達していない。
【検査法】
1)単純平板免疫拡散法(single radial immuno-diffusion、SRID):単一特異抗体を一定濃度に含有する寒天平板の孔に抗原を入れて拡散させ、抗原と抗体が最適比で反応するところに沈降輪を形成させ、この直径から抗原濃度を測定する。
2)分子光散乱分析(nephelometry):試験管内で抗原抗体反応を行わせ、生成する抗原抗体複合物による光散乱強度を測定する。
など、一般免疫血清学的手法を利用して種々工夫して行っているのが現状である。