蛋白(尿)
- 【読み】
- たんぱく(にょう)
- 【英語】
- proteinuria
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【意義・目的】尿蛋白は、大部分が血漿蛋白由来であり、血漿蛋白あるいは、通常血漿中に存在しない蛋白(アルブモーゼ、ムチンなど)が尿中に出る場合を蛋白尿という。蛋白尿は、生理的蛋白尿と病的蛋白尿および偽蛋白尿に大別される。生理的蛋白尿は、過度の運動、ストレス、腎触診、多量の肉食、起立性などで、健常人に一過性にみられるものである。病的蛋白尿は、腎性、熱性、中毒性、悪液質性など各種の疾患にみられるが、その主なものは腎性蛋白尿であり糸球体障害による糸球体性蛋白尿と尿細管障害による尿細管性蛋白尿がある。偽性蛋白尿は、尿路の途中で、血液、膿、精液などが混入する場合をいう。したがって、尿蛋白の定性、定量、分画などの検査により、腎の病変部位や、障害程度を知ることができる。
【適応疾患名】腎実質疾患(ネフローゼ、糸球体腎炎など)、腎尿細管疾患(Fanconi症候群、腎尿細管アシドーシスなど)。
【検査法】
1)尿蛋白性試験:スルホサリチル酸法(感度1.5mg/dl)、煮沸法(感度5~10mg/dl)、試験紙法(感度20~30mg/dl)、Heller法(感度3mg/dl)があり、腎糸球体の病変の有無を検査するスクリーニング試験である。
2)尿蛋白定量法:1日の尿蛋白排出量を測定することにより、ネフローゼ症候群などの腎疾患の診断の手がかりを得る。
3)尿蛋白分画法:電気泳動法により尿蛋白分画を行い腎の病変部位や障害程度を知る。
【正常値】0.1g/日以下
【結果・評価】
1)尿蛋白性試験:スルホサリチル酸法で陰性の場合は、尿蛋白陰性とみてよいが、ムチン、アルブモーゼなどが偽陽性になることがあるので、陽性の場合は、煮沸試験を行い、煮沸試験陽性の場合は病的蛋白尿と判定してよい。Heller法はムチン、アルブモーゼを他の蛋白と鑑別する方法である。
2)尿蛋白分画法:糸球体性蛋白尿の主成分はアルブミンであり、尿細管性蛋白尿は、α、α2、β、γ、が相対的に増加し、A/G比の逆転がみられる。