チェックバイト法
- 【読み】
- ちぇっくばいとほう
- 【英語】
- interocclusal record（check bite technique）、ChB
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科臨床検査事典
- 【詳細】
- 【同】下顎運動記録法
【定義】下顎前方位あるいは側方位において咬合面（床）間に出現するクリステンセン現象をワックスなどの記録材を用いて記録し、これによって半調節性咬合器の顆路要素を調節する方法。
【意義・目的】本法は半調節性咬合器の顆路を生体に近似するように調節するための方法である。原理は、基準となる顎位と偏心位における任意の顎位を記録し、この2顎位間を結んだ直線として顆路を咬合器上に再現するものである。そのため、作業側の微小な顆頭運動を測定するには適当でなく、矢状顆路と側方顆路のみを調節するのが目的である。しかし、記録に際して特別な器具は必要とされず、また術式が比較的簡単であるため臨床上の実用性が高い方法である。
【検査法】採得する下顎位により前方のチェックバイトと左右の側方チェックバイトがある。
1）チェックバイトの採得：下顎を前方あるいは側方に移動するとクリステンセン現象により上下臼歯部咬合面間（または咬合床の咬合堤間）に離開が生じる。この位置で下顎を保持させておきワックスや酸化亜鉛ユージノールペースト、即硬性石膏などの記録材を咬合面間で硬化させる。この時の下顎の移動量は、咬合器顆路の可動範囲内であること、機能運動範囲内であることなどから約5mmぐらいが適当である。なお、記録材の所要性質として精度が良く硬化後の変形が少ないこと、模型を確実に固定できることなどがあげられる。
2）咬合器顆路の調節：採得されたチェックバイトを模型の咬合面間に介在させ咬合器の顆路角を変化させて顆路傾斜角を求めることになる。この際、コンンダイラー型咬合器ではスプリットキャスト法で模型を装着しておけば模型と装着用石膏との間隙を観察できるため、調節が容易に行える。本法では前方位チェックバイトにより矢状（前方）顆路角が、側方位チェックバイトにより非作業側顆路の矢状（側方）顆路傾斜角と側方顆路傾斜角が調節される。しかし、両者のチェックバイトから求められる矢状顆路角は若干異なっている（fischer angle）。そこで臼歯部の補綴を行う場合には、側方運動を重視して側方位チェックバイトによる矢状顆路を採用する考え方と、角度のより小さな前方位での矢状顆路を採用すべきとの考え方がある。